2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on production and functional analysis of alginate deoxysugars as new rare sugars
Project/Area Number |
17K00852
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柴田 敏行 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50380796)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルギン酸デオキシ糖 / C. elegans N2 strain / TJ375 strain / 寿命延長効果 / HPLC |
Outline of Annual Research Achievements |
4-deoxy-L-erythro-5-hexoseulose uronic acid(DEH)および2-keto-3-deoxy-D-gluconic acid(KDG)は,褐藻類の細胞間粘質多糖であるアルギン酸からリアーゼやレダクターゼの作用によって生じる希少糖である。本研究では,これらアルギン酸デオキシ糖について効率の良い製造方法の開発と生理機能解析に関する研究を目的としている.平成30年度は,連携研究者と共に次の成果を得た. 1. DEHとKDGの生理機能解析:Caenorhabditis elegans N2株(野生型)を用いて,線虫の寿命に対するDEHの作用を再試験した.その結果,特定の濃度下で,DEHは,N2株の平均寿命を有為に延長させることを確認した.GFP導入変異体TJ375株(hsp-16.2::GFP)を用いた熱ストレス耐性の評価試験では,Hsp-16.2の発現を示すGFP蛍光は明確に観察されなかったが,DEH添加区でTJ375株の平均寿命が有為に延長した.これらの結果は,DEHが生理機能として寿命延長効果と熱ストレス耐性を上昇させる働きを持つ可能性を示唆している.KDGについては,動物培養細胞(正常細胞,ガン細胞)を用いたMTT試験から,細胞毒性を持たないことを確認した. 2. 新しいDEHとKDGの分析法の開発:腸管上皮細胞を用いた機能性解析試験を効率よく進めるために,イオンクロマトグラフィー用カラムとギ酸緩衝液を用いて,DEHとKDGの分析法を新たに開発した.約10分間の分析時間でDEHとKDGに加え,アルギン酸不飽和二糖から四糖を分離・検出可能な条件を確立した.従来の方法(Shibata T. et al., Nat. Prod. Commun., 12: 941-944, 2017)より,分析時間の短縮化をはかることが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DEHとKDGの効率の良い製造方法の開発については,昨年度の研究で完了し知財申請(特願2018-034178)を行った.これらアルギン酸デオキシ糖の中で,DEHについては本年度の研究により,生理機能として寿命延長効果と熱ストレス耐性を上昇させる働きを持つ可能性を示すことが出来た.KDGについては,動物培養細胞を用いた試験から細胞毒性を持たないことを明らかにした.以上の結果から,ほぼ当初の計画通りに研究が進捗していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,次のテーマを中心に研究をすすめる. 1. 単層培養した腸管上皮細胞を用いて,DEHとKDGの吸収・透過機構をLC/MS分析により解析する. 2. KDGの持つ生理機能を解析するために,モデル生物の線虫を用いて寿命延長試験を行う.DEHの持つ寿命延長効果のメカニズム解析を試みる.
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Causes of Carryover |
研究計画通りに消耗品類を購入したが,定価と納入価の間に差額があったため次年度使用額が生じた.翌年度の助成金と合わせて旅費および消耗品類の購入に使用する.
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