2017 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー代謝からみた心臓悪液質の病態解明と新たな栄養療法に関する研究
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17K00853
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐々木 雅也 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (40242979)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心不全 / サルコペニア / エネルギー代謝 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
滋賀医科大学の倫理委員会にて承認を得て、本臨床研究を開始した。現在までに、27例の心不全患者がエントリーされている。内訳は、男性16例、女性11例であり、平均年齢は73.7歳であった。 対象症例に対して、入院時に血液生化学検査による栄養アセスメントを実施した。同時に、In Body s10を用いた体組成評価をおこない、総筋肉量、上肢や下肢の筋肉量、体脂肪量を測定した。同時に握力も測定した。さらに同日に、ミナト医科製間接熱量計AE-310Sを用いて安静時エネルギー消費量と呼吸商の測定もおこなった。喫食量の調査は測定前の3日間の平均を用いた。 血液検査によるBNP値を心不全の程度を表す指標として用いた。血清BNP値は、心不全の重症度分類であるNYHAとも相関した。前述の方法で測定した栄養代謝病態との関連を検討したところ、BNP値と総筋肉量、上肢・下肢の筋肉量、握力とは有意に逆相関し、心不全が高度の場合は筋肉量や筋力が徐々に低下することが確認された。またBNP高値に伴い、血清IL-6は上昇し、血清BNP値と喫食量は逆相関した。しかし、安静時エネルギー消費量は心不全の進行にともない、むしろ減少傾向にあり、これは筋肉量を反映するものと考えられた。呼吸商には変化は見られなかった。 以上の結果から、心不全患者は病状の進行により炎症性サイトカインIL-6が上昇し、喫食量の低下を促し、筋肉量が低下することが明らかとなった。その結果、筋力も低下し、サルコペニアの病態に進行すると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標症例数の約半分に達している段階ではあるが、仮説を証明するに必要な成績が明らかとなりつつある。今後、エネルギー代謝に関しては症例を重ねて、データ解析していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
順調にエントリーが進んでおり、中間解析では仮説を証明できる成績も得られている。今後、さらに症例数を重ねて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
エントリ-症例数が本年度の目標をわずかに下回った。そのため、一部、次年度の繰り越しとなった。
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