2018 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー代謝からみた心臓悪液質の病態解明と新たな栄養療法に関する研究
Project/Area Number |
17K00853
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐々木 雅也 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (40242979)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心不全 / エネルギー代謝 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
男性32例、女性18例、計50例の心不全患者を対象とした。平均年齢は71.3歳であり、BMIは23.0であった。入院時の栄養状態をCONUTやGNRIなどの栄養スクリーニング手法、血液生化学検査にて評価し、心不全の重症度との関連を検討した。また炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-6の血清レベルを測定し、心不全の程度との関連を検討した。さらに、In body S10を用いて体組成の測定を、間接熱量測定により安静時エネルギー消費量を実測し、心不全の程度や炎症性サイトカインとの関連についても解析した。 その結果、血清brain natriuretic peptide (BNP)と血清アルブミン値、GNRIとは逆相関した。またBNP値は筋肉量、筋力とも逆相関した。このように、心不全の悪化に伴い栄養不良が進行することが明らかとなった。また、TNF-αやIL-6の血清レベルはBNP値と有意に正の相関を示し、心不全の重症度と炎症性サイトカインとの間には有意な関連が示唆された。さらにBNP200以上とBNP200未満の2群に分けて比較したところ、BNP200以上ではCONUTやGNRIで中等度以上の栄養不良と判定された割合が有意に高かった。一方、安静時エネルギー消費量は心不全の重症度と関連せず、BNP200以上群とBNP200未満群で有意差は認めなかった。 心不全患者では、重症化に伴い栄養状態が悪化し、それには炎症性サイトカインが関与することが明らかとなった。したがって、心不全では早期からの栄養介入が重要であると結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに50例の測定と解析を終えており、論文執筆の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、英語論文にて公表する予定である。
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Causes of Carryover |
エントリー患者数が目標より下回ったため、次年度も測定を継続します。そのために、一部、経費を次年度に繰り越しました。
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