2019 Fiscal Year Annual Research Report
Change of intestinal environment and gastrointestinal organ adaptation
Project/Area Number |
17K00854
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
星 奈美子 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40645214)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体は環境の変化に適応することで種を保存することができる。本研究は食餌条件の変化にともなう腸内環境の変化により、腸管長などの消化器系臓器のサイズや機能に変化が生じるかを検討することを目的として研究を開始した。 C57/BL6Jの雄マウスで食餌制限群と非制限群を設け、糞便の16SrRNA遺伝子解析による腸内細菌の主座票分析などを行い、クラスターが分離するなど制限による変化を観察した。しかし、それによる明らかな腸管長の変化などは安定的には観察されず、血糖値も不安定化することが観察された。詳細な検討から、食餌制限は非制限群と比較し、動物の活動時間が長くなっている可能性が判明し、明らかに行動学的に変化を及ぼすと判断された。次に、食物繊維由来の短鎖脂肪酸を認識する受容体であるGPR43受容体が欠損しているマウス(即ち腸内環境にある短鎖脂肪酸の生体での利用が制限される動物)による解析を進めた。結果、大変興味深いことに、GPR43受容体欠損マウスと野生株では、小腸長や大腸長に明らかな臓器サイズの変化等は観察されないものの、腸管組織におけるアミノ酸トランスポーターの発現量に有意な変化を認めることが判明した。これらアミノ酸トランスポーターは腸管上皮でも多く発現している。つまり、短鎖脂肪酸が利用できない腸内環境では、他の栄養素であるアミノ酸が効率的に利用できるよう生体が機能適応している可能性があることを示唆するものと考えられた。また、GPR43欠損マウスについては、野生株に比べて肥満化が進むという報告もあるが、我々の施設での飼育条件では、明らかな差は認めなかった。
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