2018 Fiscal Year Research-status Report
Colonic hydrogen influences neurodegeneration in the brain
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17K00859
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
山本 達朗 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90379389)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸水素 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『「食物線維等を摂取した際に大腸内の細菌叢により生成される水素は脳の酸化ストレス軽減および健全化に寄与する」という仮説を証明し、さらにその作用を強化する食物繊維摂取の量的・質的条件について研究すること』である。その端緒として本申請課題では、フラクトオリゴ糖などを摂取させたマウス等を大腸水素生成モデルとし、外傷性脳損傷モデルにおけるミクログリアとアストロサイトの活性変化、投薬によるパーキンソン病モデルおよび遺伝子改変によるアルツハイマー病モデルマウスを利用した神経変性疾患に対する効果について形態学的手法を用いて明らかにする。また同時に、急性・慢性脳疾患および脳疾患発症予防を目指した最良の食物繊維等摂取の質的・量的条件について解析を行う。 当該年度においては、脳損傷部位における、ミクログリア活性と同時に観察される、新生細胞の出現について検討を行った。フラクトオリゴ糖摂取時(水素生成の多い場合)において、損傷部位周辺には、新生細胞のマーカーであるKi67抗体陽性細胞が、通常食摂取の動物よりも多数観察される。これらの細胞が、ミクログリアであるのか、それとも他の性質を持つ細胞なのかについて、ミクログリアのマーカーであるIba1抗体とKi67抗体の蛍光二重染色を行い観察した。結果として、損傷部位におけるミクログリアの増殖はフラクトオリゴ糖摂取群において有意に減少していること、さらに、多くの新生細胞がミクログリア以外の性質を持つ細胞であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度中盤より動物の行動実験等に取り組む予定であったが、終盤から取り組みことになった。理由としては、脳損傷部位における細胞集団の性質の解析に時間を要したためである。今後は、終了時期に向けて、行動実験等に取り組み、老化等における酸化障害の抑制に対する大腸水素の効果を観察していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、老化マウスを用いて、アミロイドβタンパクやタウのリン酸化、αシヌクレインなどの神経変性疾患に見られるマーカーを用いた研究を推進していく。老齢のマウスを購入し、それらに対して水素生成が惹起される食餌を与え、受動回避試験を用いた記憶の変動、解剖後の脳組織の各種マーカーによる染色などを通じて、大腸水素が老化に伴う神経変性疾患に対して与える影響について詳細に検討していきたい。
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Causes of Carryover |
年度内に試薬などの注文を行ったが、年度末の納入に間に合わなかったため、次年度に繰り越しとなった。
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Research Products
(2 results)