2019 Fiscal Year Annual Research Report
Colonic hydrogen influences neurodegeneration in the brain
Project/Area Number |
17K00859
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
山本 達朗 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90379389)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸水素 / 腸内細菌叢 / ミクログリア / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『「食物線維等を摂取した際に大腸内の細菌叢により生成される水素は脳の酸化ストレス軽減および健全化に寄与する」という仮説を証明 し、さらにその作用を強化する食物繊維摂取の量的・質的条件について研究すること』である。 当該年度においては、前年度までに得られた脳損傷部位における、ミクログリアの形態、すなわち活性化型か通常型かについて詳細な形態学的観察を元に比較検討した。フラクトオリゴ糖摂取時(水素生成の多い場合)において、脳損傷部位周辺には、様々な形態を持つミクログリアが出現するが、過去の研究報告より、炎症に繋がる活性化型は激しい突起を出し、通常型は球形を示すことが明らかとなっている。本研究では、大腸水素による脳損傷部位の炎症緩和の程度について、ミクログリアの形態を指標として評価した。通常型のミクログリアは、脳損傷部位と反対側のミクログリアの形態を基準とした。その結果、脳損傷から1週間経過した状態では、通常食摂取群においてミクログリアの形態は突起状のものが多く、これに対してフラクトオリゴ糖摂取群においては、球形の通常型を示すミクログリアが多く観察された。 このことは、大腸水素の脳内暴露が、脳損傷による炎症を早期に鎮める役割を果たすことを示唆している。従って、大腸水素の産生を促す食物の摂取は、脳損傷時の炎症の過剰な拡大を抑制し、損傷部位の回復を促進する役割を果たす可能性がある。
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