2017 Fiscal Year Research-status Report
食用植物種子による時計遺伝子発現の制御:成分の特定と機構解明
Project/Area Number |
17K00863
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
岡田 悦政 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (60224036)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 食用植物種子抽出成分 / 時計遺伝子 / 高速液体クラマトグラフィー / Bmal1 / Per1 / Sirt1 / NRF2 |
Outline of Annual Research Achievements |
食用植物種子抽出成分(EPPS)が、ヒト肺由来線維芽細胞において時計遺伝子のmRNA発現に影響を与えた熱水抽出、エタノール抽出成分の単離を行い、その成分について一部Bmal1, Per1、Sirt1のmRNA発現への影響を検討し、活性成分の特定を行った。また、それらの活性段階の機構を検索することを目的に実験を実施した。 EPPSの熱水抽出成分の粗抽出の段階におけるBmal1,Per1,Sirt1 mRNA発現における影響をすでに確認しており、これらの中核となる成分の確定を試み、それぞれ単離された成分についてBmal1及びPer1とSirt1について、どの成分が特定の遺伝子をdown-regulation及びup-regulationするのか確認実験を行うため、粗抽出成分について、ポリフェノール性成分を中心に分画、さらに高速液体クラマトグラフィーによる細分画を行った。配糖体の形での存在のため、単離溶出条件など検討しながら進め、単離精製することでその活性低下も一部認められ、mRNAの発現状況を確認しながら、どの段階の単離成分が最も活性が高いか検討を行った。エタノール抽出成分についても同様な実験を実施し、熱水抽出成分と同様な結果を得た。 また、今後の予定を考え、EPPSによる時計遺伝子発現機構に関し、予備的実験検索を行った。まず、NRF2の発現変化を通しての影響について検討した。NRF2がredoxバランスと概日リズム振動の関係に介在していることから、単離成分は、抗酸化機能を有するポリフェノールを含有していたため、細胞内redox反応に関与することが推定され、NRF2の役割に変化を与えるのか検討した。結果、Nrf2のmRNA発現に変化が認められるサンプルも見られ、粗抽出の段階で認められたBmal1, Per1, Sirt1への影響から、直接的な影響も考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抽出精製に関して、若干遅れている傾向にあるが、その後の研究課題である機構に関し、一部結果を得ており、全体としてはおおむね順調に研究は進行しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の目標は、熱水抽出活性成分及びエタノール抽出活性単離成分についてそれぞれの時計遺伝子Bmal1,Per1,Sirt1のmRNA発現への影響及び予備的機構確認である。これらの中核となる成分の時計遺伝子Bmal1,Per1とそれらの制御遺伝子であるSirt1についての影響が、熱水抽出成分とエタノール抽出成分について異なる活性について、どの成分が特定の遺伝子をdown-regulation及びup-regulationするのか確認したい。mRNAの発現状況を確認しながら、どの段階の単離成分が最も活性が認められる形であるか検討を行う。また、EPPSによる時計遺伝子発現の機構検索として、NRF2の発現変化を通しての影響についてさらに検討を行う。NRF2がredoxバランスと概日リズム振動の関係に介在し、その中心的な役割をNADPHが担っていることから、単離成分は、抗酸化機能を有するポリフェノールを含有するため、細胞内redox反応に関与することが推定され、その結果redoxに変化を与えることが、時計遺伝子にどのような影響を与えるのか検討を行う。また、時計遺伝子機構確認のためNR1D1のmRNAレベル発現についても実験を試みたい。
|
Causes of Carryover |
HPLCに伴う実験条件による幾つかのカラムの購入予定と、溶出液中に含まれる空気の状況によるデガッサー購入についての必要性のバランスのため、次年度予算での使用とした。
|