2018 Fiscal Year Research-status Report
温度受容TRPチャネルを作用点とした食品成分摂取による冷え改善の作用機序の解明
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17K00865
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
森 紀之 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (90585184)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | TRPM8 / 体温調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
「冷え」は多くの若年女性が悩まされている症状であるが、いまだ詳細な原因は不明であり明確な改善方法が示せていない。冷えは「環境温度に対する末梢部位の温冷感覚の異常」と考えられる。温度受容TRPチャネルは温度情報の伝達に関わる機能に深く関与していることから、「冷え」改善への介入の新たな作用点となりうることが考えられる。本研究では、温度受容TRPチャネルの機能と冷えの症状との関係について明らかにすることを目的とする。本年度はヒトにおける検討において取得した緩慢冷却試験や冷水負荷試験による体温調節機能に関するデータや温度受容TRPチャネルの感受性に関するデータの解析を進めた。まず体温調節機能の評価として行った緩慢冷却試験による体温調節反応と冷水負荷試験による体温調節反応には相関がみられた。また冷刺激受容体であるTRPM8のアゴニストへの閾値試験により受容体の感受性についてメントールの皮膚閾値試験を行ったところ、メントール閾値が高い被験者は冷えに対する苦痛を感じにくくなっているということ、また閾値が低い被験者は冷えに対して敏感に感じているという傾向が観察された。さらに、冷刺激に対する体温調節反応の応答性とTRPM8の閾値の間には相関関係は確認されなかった。以上の結果から、冷えの症状には冷刺激受容体の感受性の関与が大きく、体温調節反応が良好であるにも関わらず、冷刺激に対して過敏に反応することで冷えの症状を感じているヒトが存在している可能性が考えられ、冷えの症状緩和のための作用点としてTRPM8の機能調節が有効となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の移動に伴い、実験環境の整備に時間がかかり、当初の計画について達成できていない部分があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画で実行予定であった内容について、できる限り研究を進める。また、研究を進める上で明らかになってきた点についても検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)当初検討を行う予定であった実験内容が次年度以降の実施の予定に変更となったため。 (使用計画)計画していた実験内容を実施し、当初の予定金額を次年度に繰り越し予定通りに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)