2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00866
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
和田 小依里 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (60420709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健司 京都大学, 農学研究科, 教授 (00202094)
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00305575)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発酵食品 / ピログルタミルペプチド / 一酸化窒素 / 腸内細菌叢 / ヒト試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループでは先行研究で日本の伝統食品である味噌や日本酒などの発酵食品中に,抗炎症作用を示す多種類のピログルタミルペプチド(以下,ペプチド)が含まれていることを明らかにした。また,薬剤ではなく食品としてペプチドを豊富に含む低温発酵物を開発し,それによるマウスでの腸炎抑制効果,腸内細菌叢改善効果を明らかにした。 本年度研究では,味噌中に多く含まれるピログルタミルロイシン(pEL),ピログルタミルイソロイシン(pEI),ピログルタミルバリン(pEV),ピログルタミルプロリン(pEP)を用いて,サイトカインなどによりマクロファージから多量に産生され炎症反応を引き起こす一酸化窒素(nitric oxide:NO)産生の抑制効果について検証した。ペプチドを同じ割合で,総ペプチド量が0.4 μMとなるよう添加した場合,3種類および4種類の組み合わせにおいて,有意にNO産生を抑制した。一方,1種類,2種類の添加では有意なNO産生抑制効果は認められなかった。 近年,さまざまな疾患と腸内細菌叢の関連が明らかとなってきている。そこで,ペプチド高含有低温発酵物が健常人の腸内細菌叢へ及ぼす影響を検討した。健康な大学生20人を対象に,低温発酵物飲料の腸内細菌叢への影響を検討した。飲料摂取前後の腸内細菌叢を解析し主成分分析を行った。多くの者は低温発酵物摂取による腸内細菌叢の変化を認めなかった。しかし,ベースラインで特定のパターンの腸内細菌叢を持つ者は,低温発酵物摂取前と比較して摂取後に腸内細菌叢の変化が認められた。 以上より,ペプチドを3種類以上組み合わせるとNO産生抑制効果が認められたことから,多種類のペプチドを摂取することが望ましいと考えられた。また,ペプチド高含有低温発酵物はヒト試験において特定のパターンの腸内細菌叢を変化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では4つの研究計画を立て29年度より3年間で完遂する計画であるが、2年目である30年度に③米発酵物サンプル摂取と腸内細菌叢改善の作用メカニズム解析および④米発酵物サンプルのヒト試験による腸内細菌叢変化の分析を行うことができたためおおむね順調に進展しているとした。 ③米発酵物サンプル摂取と腸内細菌叢改善の作用メカニズム解析では、サイトカインなどによりマクロファージから多量に産生され,炎症反応を引き起こす一酸化窒素(nitric oxide:NO)産生の抑制効果について検証した。マウスマクロファージ細胞株化細胞(RAW264.7細胞)に上記ペプチドを様々な組み合わせで添加した後,NO産生を誘導しNO産生量/生細胞数を算出した。ペプチドを同じ割合で,総ペプチド量が0.4 μMとなるよう添加した場合,pEL+pEI+pEV,pEL+pEV+pEP,pEI+pEV+pEP,pEL+PEI+pEV+pEPの組み合わせにおいて,有意にNO産生を抑制した(p = 0.029,0.019,0.011,0.011)。しかし,ペプチドを1種類,2種類で添加した場合,有意なNO産生抑制効果は認められなかった。ペプチドの相乗効果によりNO産生抑制効果を認めたと考えられる。 ④米発酵物サンプルのヒト試験による腸内細菌叢変化の分析では健康な大学生20人を対象に,ペプチド高含有低温発酵物飲料およびプラセボ飲料を用いて,腸内細菌叢への影響を検討した。試験飲料摂取期間4週間のクロスオーバー二重盲検試験を行い,各飲料摂取前後の腸内細菌叢を解析し,主成分分析を行った。多くの者は低温発酵物摂取による腸内細菌叢の変化を認めなかった。しかし,ベースラインで特定のパターンの腸内細菌叢を持つ者(20人中4人)は,低温発酵物摂取前と比較して摂取後に腸内細菌叢の変化が認められた(4人中4人)。
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Strategy for Future Research Activity |
2型糖尿病および非アルコール性脂肪性肝疾患患者と健常者の発酵食品摂取量および腸内細菌叢の比較を行う。外来通院中の2型糖尿病患者および非アルコール性脂肪性肝疾患患者の中で同意を得られたものに対し、食事調査および便腸内細菌叢解析を行う。各疾患20 名ずつを予定している。腸内細菌叢解析も行うことにより、腸内細菌叢、疾患、食事・栄養素摂取量の相関について解析する。また、健常ボランティア20名に対しても同様の調査を依頼する。また、健診データを用いて照り焼き、煮物等の醤油、味醂、酒などの発酵食品を用いた食事の頻度と疾患との関連について調査・解析を行う。 さらに培養細胞、実験動物を用いてピログルタミルペプチドがサイトカインなどに及ぼす影響を調べ、分子レベルでの作用機序を解明する。
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Causes of Carryover |
ピログルタミルペプチドの合成および細胞実験が順調に行えたため、追試用に計上していた物品費が不必要となったため。次年度の細胞実験に用いる。
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