2018 Fiscal Year Research-status Report
Determination of when to take antioxidants.
Project/Area Number |
17K00878
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大澤 要介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (50528429)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ペルオキシレドキシン / スルフィレドキシン / 概日リズム / 酸化還元リズム / 活性酸素種 / 抗酸化物質 / BRET / K562細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では過酸化水素による酸化型ペルオキシレドキシン2の過酸化とスルフィレドキシンによる過酸化型ペルオキシレドキシン2の還元によって形成される擬似赤血球の概日リズム(酸化還元リズム)の発生に効果的な物質として、ピルビン酸を同定した。測定培地中のピルビン酸濃度を増加させると、容量依存的に酸化還元リズムの振幅が増大した。ピルビン酸は酸化還元リズム形成の引き金となる過酸化水素自体を消去する抗酸化物質であるため、リズムの発生に必要な過酸化水素は非常に低濃度であると考える。
ミトコンドリアを含む細胞径の大きい擬似赤血球ではなく、ミトコンドリアを含まない赤血球大の細胞の方が長期にわたる酸化還元リズムの測定に適していることがわかった。これまで、擬似赤血球は細胞骨格のアクチンおよびチューブリンに対する阻害剤を用いて、細胞分裂を停止させることで作製していた。擬似赤血球は細胞の直径が大きく、脱核が不十分であり、生存率も低く、測定中に死滅してしまうことが問題であった。酸化還元リズムの測定に高濃度の発光基質を用いると、発光に必要な酸素消費が増大し、ミトコンドリアのエネルギー代謝に依存する擬似赤血球はほとんど死滅する。ところが、擬似赤血球作製の副産物として共存していた赤血球大の細胞は生き残り、酸化還元リズムを維持していた。
赤血球大の細胞(モデル細胞)は一酸化炭素とチロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブを用いることで、効率よく作製できることがわかった。作製したモデル細胞は100%脱核しており、擬似赤血球と異なり、生存に血清が必須ではなかった。モデル赤血球は血清が不要であるため、血清由来の抗酸化物質の影響を考慮しなくて済み、測定培地に添加した抗酸化物質の影響のみを調べることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
赤血球大のモデル細胞は培地の浸透圧を280mOsmに維持することが生存に重要であるが、市販の培地に等張のものがなく、適切な培地を個々の試薬から自分で調整したため、時間がかかってしまった。そのため、昨年度と同様に、酸化還元リズムの振幅の増大を調べる基本条件の決定が遅れてしまい、研究計画調書で検討する物質として挙げている抗酸化物質を全て網羅できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化還元リズムの振幅の増大に効果的な残りの抗酸化物質を調べるとともに、健常者の酸化還元リズムの最下点位相を算出する計算式を導く。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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