2018 Fiscal Year Research-status Report
脂溶性食品成分によるミトコンドリア機能覚醒と抗肥満効果の解明
Project/Area Number |
17K00883
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
海野 雄加 帝京大学, 医学部, 助教 (30433212)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肥満 / 培養脂肪細胞 / 脂質 / 機能性食品 / ケミカルバイオロジー / 食品 / 生体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は国民の健康において深刻な問題だが、エネルギー収支を基準とした個人の生活習慣の改善に委ねられており、抗肥満活性の統一的基準は十分に確立されていない。そこで、研究代表者は培養細胞の評価システムを個体レベルでの肥満解消を予測可能なシステムへと磨き上げることで、抗肥満活性の統一的基準の確立を目指している。 クリルオイルは南極オキアミから抽出されたω-3脂肪酸であるEPAやDHAを豊富に含むオイル成分である。これまでにも、クリルオイルによる抗肥満効果がヒト臨床試験で報告されているが、その詳細な作用機序は解明されていない。そこで我々は、培養細胞レベルでの解析に取り組み、クリルオイルが脂肪分化を誘導すること、その脂肪細胞は、通常の方法で分化させた脂肪細胞と比較して、脂肪滴が微小ながら数が多いなどのユニークな特徴を有することを見出した(若手研究(平成27-28年度:15K16233))。 我々は、クリルオイルにはEPAやDHA以外の未知の活性成分が含まれていると考えた。本研究課題(基盤研究(平成29-令和元年:17K00883))で、クリルオイルに含まれる活性成分を複数見出し、それら成分の構造を決定した。また、側鎖をパルミチン酸として合成法を確立した。見出した成分の1つ、Palmitoyl lactic acid は、褐色脂肪への転換(ブラウニング)に寄与することで3T3-L1脂肪細胞に含まれる中性脂肪を有意に減少させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、おおむね順調に進展していると評価される。 平成30年度の研究計画は、クリルオイルから見出した成分Palmitoyl lactic acidを合成し、合成Palmitoyl lactic acidが活性を再現できるかを調べ、その作用機序を詳細に解析することである。 1)脂肪蓄積抑制の再現性 2)褐色脂肪への転換(ブラウニング)の再現性 3)1)と2)の作用機序解析 いずれも達成でき、その成果はBBA - Molecular and Cell Biology of Lipidsに報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
クリルオイルからは複数の活性成分を見出している。そこで、Palmitoyl lactic acid以外の成分に関しても、まずは最も安定な飽和脂肪酸であるパルミチン酸で合成し、抗肥満効果の再現性と作用機序を解析する。 見出した脂溶性成分に抗炎症効果があるのかも併せて検討する。
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Causes of Carryover |
平成30年度までに得られた成果を原著論文にまとめ報告した。この際、当初予定していた査読対応分の予算が少なく済んだため、余剰金が生じた。 余剰分は翌年度分と併せて(論文化されていない他の)成分解析に使用する。
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