2017 Fiscal Year Research-status Report
HDLをターゲットとした食品由来硫黄化合物の新たな抗動脈硬化作用の解明
Project/Area Number |
17K00886
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 春美 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80401602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 日登美 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20225220)
池脇 克則 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 教授 (40287199)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コレステロール / HDL / 動脈硬化 / 硫黄化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
高比重リポ蛋白(HDL)は、動脈硬化巣マクロファージ中の余剰なコレステロールを肝臓に運搬するコレステロール逆転送(RCT)を担う抗動脈硬化性リポ蛋白であり、動脈硬化予防の新規治療ターゲットとして注目を集めている。申請者はコーヒーポリフェノールやシトルリンがマクロファージ中のコレステロールを引き抜き、RCTを活性化することを報告しており、食品因子からの更なるアプローチに大きな期待が寄せられている。最近、申請者はアミノ酸の中でも含硫アミノ酸であるシステインやメチオニンがHDLによるコレステロール引き抜きを増加することを見出した。一方、食品由来の硫黄化合物は、主にアブラナ科の野菜に含まれる成分で、ニンニクやタマネギなどの独特な強い匂い成分や大根などの辛味成分になる物質が含まれている。ニンニクや玉ねぎは1990年のアメリカ国立癌研究所(NCI)に発表されているデザイナーフーズのとおり、癌の予防効果のあるのは周知の事実である。最近ではブロッコリースプラウトの抗ガン作用も注目をあつめ、その硫黄化合物の中には癌が予防効果の他、強力な抗酸化作用、動脈硬化の予防効果が報告されているが、HDLをターゲットとした動脈硬化予防の検討はいまだなされていない。 本研究の第一課題であるコレステロール引き抜きを評価するために、培養マクロファージ細胞からのコレステロール引抜き能をin vitroで検討した。 実験方法は、マクロファージ培養細胞に[3H]ラベルしたコレステロールを取り込ませる。その後、硫黄化合物の一種であり、ニンニクの臭気前駆体であるアリルシステインスルフォキシド(ACSO)とHDLを添加したのち、培地中の[3H]量を細胞中の[3H]を換算して硫黄化合物のコレステロール引き抜き能を算出した。その結果、コントロール群に比べてACSO群のHDLによるコレステロール引き抜き能の増加は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、硫黄化合物の一種であり、ニンニク臭気前駆体であるACSOによるコレステロール引き抜き能を検討した。しかし、コントロール群に比べてACSO群のHDLによるコレステロール引き抜き能の増加は認められなかった。 その他、他の硫黄化合物であるマカの抽出物について行う予定であったが、マカの育ち具合が良くなく、マカの入手を待っていることに時間を要してしまった。今後は、入手困難な硫黄化合物を待つ間には、入手可能な硫黄化合物の実験を優先するなど順番を変えて行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度ACSOによるコレステロール引き抜き能を測定したが、変化は認められなかった。 今年度も引き続き硫黄化合物によるコレステロール引き抜き能を測定していく。硫黄化合物の具体的な例としては、精力剤として知られるマカの抽出物、ブロッコリースプラウトや大根スプラウトなどで実験を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度の実験がやや遅れている為に、消耗品の購入などが少なくなったために次年度使用額が生じた。なお、H30年度にはで未使用金額でH29年度に行うことが出来なかった実験を行うことにより、消耗品費として使用する予定である。
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