2017 Fiscal Year Research-status Report
水素分子の炎症制御機構解析-慢性炎症を基盤とした生活習慣病対策に向けて-
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17K00887
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
上村 尚美 日本医科大学, 先端医学研究所, 准教授 (60283800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 勝哉 成蹊大学, 理工学部, 助教 (40553847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 酸化ストレス / 炎症 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
活性酸素は、病原体などの感染を感知した際の免疫応答の一つとして免疫細胞に産生され、生体の防御機構のために必要である。過剰な活性酸素生産は、老化あるいは糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の原因として生体にとっては有害な物質でありながらも細胞の分化等で重要なシグナル伝達物質であることが分かってきた。また、近年、水素分子には顕著な抗炎症作用があることが分かってきた。そこで、本研究においては、様々な免疫応答の局面におけるミトコンドリア制御とシグナルとしての活性酸素、および、Toll様受容体シグナル経路の解析を行い、両経路での水素分子のターゲットを明らかにすることを目標としている。当研究室では、酸化還元状態に応答して蛍光が変化する緑色蛍光タンパク質(roGFP)を発現するトランスジェニックマウスを作製し、生体内の活性酸素を測定する生体イメージング技術の開発を行った。これまでは、このマウスを用いて肝臓や筋肉等の臓器での解析を行っていたが、今年度はこのマウスを用いて免疫細胞における活性酸素解析の予備的な実験を行った。 roGFPマウスは2系統作製しており、一つは細胞全体の酸化還元状態を測定する系統、もう一つは、roGFPにミトコンドリア局在シグナルを付加しておりミトコンドリアの酸化還元状態を測定する系統である。両系統とも脾臓、リンパ節、胸腺において良好なroGFPの発現を確認し、組織切片や組織から単離した免疫細胞での酸化還元測定条件を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は本研究課題の初年度であり、課題に沿った研究テーマの実験条件を検討し、実験系を設定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデルマウスや高脂肪食による食事誘導性肥満モデルマウスを用いて様々な免疫応答の局面におけるミトコンドリア制御とシグナルとしての活性酸素、および、Toll様受容体シグナル経路の解析を行い、両経路での水素分子のターゲットを解明していく。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りの支出があったが物品の節約などにより残額が生じた。次年度へ繰り越した研究費は、次年度の研究計画に沿って実験動物、試薬や消耗品の購入に使用する予定である。具体的には、実験動物、細胞培養試薬、PCR関連試薬、フローサイトメーター用試薬、免疫組織炎症関連試薬、ミトコンドリア解析用試薬等の試薬類、および、顕微鏡や画像解析、各実験に使用する消耗品に使用する。
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