2017 Fiscal Year Research-status Report
視床下部に発現するオリゴデンドロサイト前駆細胞の摂食調節における役割
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17K00889
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10442716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 裕子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90468207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血小板由来成長因子受容体α / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中枢性摂食行動調節メカニズムに視床下部のオリゴデンドロサイト前駆細胞のPDGF受容体α (PDGFRα) を介した細胞内シグナル系が関与することを明らかにすることである。 平成29年度は、中枢神経系においてPDGFRαを発現する細胞はオリゴデンドロサイト前駆細胞であることを確認した。給餌状態による視床下部のPDGFRαの発現について半定量的な免疫組織化学で検討を行った。8週齢C57BL/6雄性マウスに48時間の絶食を行い、対照群には、42時間絶食後、6時間の再給餌を行った。その結果、絶食により、視床下部のPDGFRα発現は、摂食行動調節に関与すると考えられている弓状核 (arcuate nucleus ; ARC) において、対照群の約15倍、背内側核 (dorsomedial hypothalamus ; DMH) では8倍、腹内側核 (ventromedial hypothalamus ; VMH) では6倍の発現増加を示した。対照とした扁桃体では、増加は顕著でなかった。この結果は、ウエスタンブロットにより定量的に確認した。次に、PDGFRの選択的チロシンキナーゼ活性の阻害剤の一つであるイマチニブを用いてPDGFRシグナル系を阻害し、体重の変化を検討した。予備実験においてイマチニブの腹腔内投与は、高脂肪食給餌による体重増加作用を抑制する結果を得ており、今回は、高脂肪食を給餌したマウスに浸透圧ポンプを用いて持続的 (4週間) に脳室内 (側脳室) に投与した。その結果、イマチニブの末梢投与の結果とは異なり、中枢投与においてイマチニブは体重増加作用を示した。 以上の結果より、視床下部のPDGFRα発現は、摂食調節メカニズムに関与している可能性があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成29年度中に、給餌状態による視床下部のPDGFRα発現について検討を行い。平成30年度中にPDGFRの選択的チロシンキナーゼ活性の阻害剤であるイマチニブを脳室内投与し、検討を行う予定であったが、平成29年度中に検討することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度で得られた結果をもとにPDGFRαのリガンドであるPDGF-AAを浸透圧ポンプを用いて持続的に脳内 (弓状核、背内側核、腹内側核) に投与し、①インスリン感受性および耐糖能解析、②遺伝子、たんぱく質解析、③行動様式解析を行う。
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Causes of Carryover |
3月末の出張旅費の支払が、29年度分の支払いに間に合わなかった為、残額が生じた。 次年度に精算する。
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