2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00892
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
呂 鋭 中部大学, 応用生物学部, 講師 (80381862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 信治 中部大学, 生物機能開発研究所, 特任教授 (10142192)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ABCA1 / 高血糖 / HDL |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病における動脈硬化の促進はよく知られており、冠動脈疾患の合併率や心筋梗塞急性期以後の死亡率も高い。これらの合併症は血糖値を指標とする糖尿病の栄養学的・薬理学的管理に依存するとされ、その背景の一つに動脈硬化の負の危険因子であるHDLの代謝障害が指摘されている。HDLの産生には細胞膜にあるABC蛋白質ABCA1が必須であり、その存在下で細胞のリン脂質およびコレステロールは細胞外のアポリポ蛋白質apoA-1などと結合してHDLを形成、細胞コレステロール搬出の主要な反応の一つとなる。本研究は、高血糖環境に於ける肝細胞のABCA1発現およびHDL産生を調べた。その結果は以下である。 ① 高血糖症モデルマウスにおいて野生型と比べHDL新生反応が低下し、野生型と高血糖モデルマウスから単離した肝実質細胞においていずれも高濃度グルコースによりABCA1たんぱく質総量は増加した。② 野生型と高血糖症モデルマウスから単離した肝実質細胞では高濃度グルコースによりABCA1たんぱく質分解速度が低下する。③ HEPG2細胞では、高濃度グルコース下で細胞ABCA1たんぱく質総量は増加するが、細胞表面に局在するABCA1蛋白質発現は減少する。またHEPG2細胞における蛍光免疫染色では、こうした高血糖の影響が確認された。 このように、培養細胞における高濃度グルコースにより細胞表面ABCA1の発現は低下し、それによって、HDL産生が低下すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、高血糖におけるHDL低下との関連が考えられる肝細胞ABCA1蛋白の細胞内局在の変化の機序とcaveolin-1の関与を解明するため、高血糖条件下でのマウス一次培養肝細胞及びヒト株化肝細胞 HepG2におけるABCA1の局在、分解及び活性に及ぼす影響を調べた。研究は順調に進めて、得られた結果を学会報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究結果をふまえて、今後は以下のように研究を進めていく予定。 (1) 高血糖環境のABCA1/caveolin-1相互作用のABCA1細胞内局在とABCA1比活性への影響を同様の肝細胞モデルで測定する。(2) 高血糖条件下肝細胞モデルで、SQ/DQのABCA1/caveolin-1相互作用への干渉によるABCA1活性増加の有効性を検証し、ABCA1/caveolin-1相互作用とHDL産生調節の制御因子を解明する。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用は予定より少なかったため次年度使用額を生じた、使用計画としては、細胞培養関連試薬及び抗体を購入する。
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