2017 Fiscal Year Research-status Report
分岐鎖アミノ酸と成長ホルモンによる筋委縮抑制作用の分子機構の解明
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17K00899
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
置村 康彦 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (30204100)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 成長ホルモン / 分岐鎖アミノ酸 / 筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
成長ホルモンを欠くspontaneous dwarf rat(SDR)では、筋委縮抑制に重要な役割を果たすmTORC1の分岐鎖アミノ酸(BCAA)による活性化が明確ではないこと、しかし、GHを補償することにより、BCAAによるmTORC1活性化がみられるようになることを報告した。この機序を明らかにする目的で、GH、BCAAのSDR骨格筋各種mRNA量に及ぼす効果を網羅的に調べることを試みた。 雄性6週齢のSDRに、浸透圧ポンプで2週間GH を持続皮下投与(10 μg/h)した。GH 投与開始後10 日目より14日目まで、BCAA(600 mg/kg/day)、あるいは水(対照)の経口投与を行った。GHの代わりに生理的食塩水を持続投与したSDRにも、同様の処置を行った。持続投与開始後15 日目にそれぞれのラットから骨格筋を摘出、mRNAを抽出し、次世代シークエンサーで各サンプル約1400万のmRNAの部分配列を決定し、各mRNA量を比較検討した。比較的発現頻度が高いものもの (RPKM (mRNA100万解読あたり検出されたmRNA数を遺伝子配列長で補正した数値) 2以上)で、BCAA処置により倍以上となったもの、あるいは1/2以下になったものを抽出した。その結果、25のmRNAが抽出されたが、そのうち19では、GHの補充投与によりBCAAによるそのmRNA量に及ぼす効果が逆転していた。現在、それらのmRNAがコードするタンパク質の機能について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SDRは特殊なラットであり、通常、大きな集団で繁殖させるシステムとはなっていない。そのため、実験動物納入業者からも、実験に必要な数のSDRを入手するまでに時間がかかり、進行がやや遅れている。また、実験に携わる大学院生等、研究者協力者数が減少し、実験等に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたmRNAの中には、機能が未知であるタンパク質をコードしているものもあり、解析に時間を要すると考えられる。既知のタンパク質については、まずmTORC1との関連に関して、培養細胞系でその機能について検討中であるが、実験に携わる大学院生の減少に伴い、研究活動に遅延が生じている。そのため、研究経費で解析技術を持つ実験補助者を任用し、可及的速やかに解析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究で使用するSDRは特殊なラットであり、通常、大きな集団で繁殖させるシステムとはなっていない。そのため、実験動物納入業者から実験に必要な数のSDRを入手するまでに時間がかかり、進行がやや遅れている。また、実験に携わる大学院生等、研究者協力者数が減少し、実験等に遅延が生じている。このため、次年度使用額が生じた。 速やかに研究を進行させるために、生化学的手法を有する実験補助者を臨時的に雇用することが必要である。そのため、29年度未使用額を合わせた総予算額の約50%は、この費用に充てる予定である。残りは培養用品、生化学実験消耗品の購入に使用する。
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