2020 Fiscal Year Research-status Report
柑橘系機能性成分のストレス改善・予防効果と安全性を評価するための基礎研究
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17K00904
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
豊平 由美子 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90269051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フラボノイド / カテコールアミン / トランスポーター / メンタルヘルス / 柑橘類 / フィトケミカル |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病は精神的なストレス疾患をも誘発する一因でもあり、メンタルヘルス対策における栄養管理の重要性は注目されている。柑橘類には抗酸化作用、動脈硬化予防効果、発ガン抑制効果等の生理調節機能がある機能性成分(ファイトケミカル)が含有されている。抗うつ作用、気分安定作用や抗不安作用が期待できる柑橘類機能性成分を特定することによって、ストレス軽減効果の有るメンタルヘルス不調の治療薬や予防薬として柑橘類機能性成分の可能性を探索する事を目的としている。現在使用されている抗うつ薬の標的分子であると考えられているノルアドレナリントランスポーター (NAT)やセロトニントラ ンスポーター(SERT)の基質取込み能や細胞膜上の発現変動を解析し、NAT やSERT機能への柑橘類機能性成分の影響を検討した。 ポリメトキシフラボノイドであるノビレチン及びタンゲレチンとリモノイドであるノミリンはNATの機能を抑制することを明らかにした。ノビレチン、タンゲリチン、ノミリンによる[3H]NAの取り込み抑制作用はVmaxの減少によるもので、みかけ上のKm値に変化は見られなかった。細胞を用いた細胞膜NATへの[3H]NIX結合実験におけるScatchard解析を行って、Kd(解離定数)値、Bmax(最大結合数)値の変化について現在検討を行っている。 ノビレチン、タンゲリチン、ノミリンは抗うつ薬の標的分子として考えられているNAT機能を修飾していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ウシ副腎髄質初代培養細胞系やヒト神経芽細胞腫由来細胞株 (SK-N-SH)を用いて、NATの基質取り込み能を指標にしたスクリーニングで同定した神経系へ作用する柑橘系機能成分について、作用機序等を解析した。平成29年度における研究代表者の病気療養により遅れていた動物実験は、今年度も新型コロナ感染症によるリモート勤務の影響を受けて遂行する事が出来ず、積み残したままとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間の補助事業期間延長を承認していただいていたのだが、令和2年度は新型コロナ感染症の対策としてのリモート勤務が実施されたため多くの実験を実施することが困難な状況となり、さらに1年の研究期間の延長を承認していただいた。最終年度になるので積み残しの実験を研究計画に従って、実施していく予定である。 1. 柑橘類機能性成分投与マウス脳から分離したシナプトゾームへの基質の取込みを測定し、NAT, DAT, SERTの機能を測定する。 2. 慢性ストレスストレス負荷と対照群マウスの脳を分画して前頭皮質,海馬,中脳の神経栄養因子(BDNF, NGF, NT-3)タンパク質発現量やmRNA 量の変動を解析する。大脳皮質、海馬、中脳中のモノアミンとその代謝産物量を測定する。 3. 特定機能性成分の薬効評価を行う。神経栄養因子タンパク質・mRNA量定量、脳組織中モノアミンとその代謝産物の定量、シグナル伝達系の測定、血漿中コル チゾールベル測定も併せて行う。 4. 柑橘類機能性成分(ノビレチン、ノミリン、オーラプテン、リモネン等)の細胞内シグナル伝達系について解析する。ERK, Akt, GSK3βはリン酸化抗体を用いた Western Blotting法により、PKC, cAMP, cGMP,はkitにて測定する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究代表者が病気休暇・休職となり、全体的に研究計画が大幅に遅延していたので、1年間の補助事業期間延長を承認していただいていたのだが、新型コロナ感染症対策によるリモート勤務の実施により、令和2年度も積み残しの実験を実施していくことが困難な状況となり、研究実施の遅れを取り戻すことが出来なかった。 最終年度となるので積み残しの実験を研究計画に従って、実施していく予定である。積み残しの課題に、残額625,076円は使用することとした。 (使用計画))動物実験の大部分は進行が遅れている状況である。生じた未使用額625,076円は実施できなかった動物実験における動物の購入費用に使用する計画である。 1. 特定機能性成分を投与したマウスの行動解析試験を実施する。2. 特定機能性成分投与マウス脳から分離したシナプトゾームへの [3H]NA, [3H]DA, [3H]5-HTの取込みを測定し、NAT, DAT, SERTの機能を測定する。3. ストレス負荷と対照群マウスの脳を分画して前頭皮質,海馬,中脳の神経栄養 因子(BDNF, NGF, NT-3)タンパク質発現量をELISAやWestern Blotting法により、Real-time PCR法によりmRNA量の変動を解析する。4. 脳組織中モノアミンとその代謝産物の定量する。
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Research Products
(4 results)