2020 Fiscal Year Research-status Report
マスト細胞を介するアレルギー反応を制御する食品由来機能性分子の探索
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17K00907
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
為広 紀正 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 主任研究官 (80597881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マスト細胞 / 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループは、ヒトのFceRIを発現するラット由来マスト細胞株RS-ATL8細胞を樹立し、ヒト血清中に存在する抗原特異的なIgE抗体を簡便に検出するEXiLE法を開発した。本RS-ATL8細胞株は、IgEシグナルによる脱顆粒応答を正常に保持しており、マスト細胞のシグナル伝達を制御する因子の探索に利用する事が可能である。そこで本研究では、食品由来低分子化合物ライブラリー及びキノーム別に分類される220種のプロテインキナーゼ作動薬・拮抗薬ライブラリーからマスト細胞の脱顆粒を制御する分子の探索を行った。前年度までの解析により得られたマスト細胞の脱顆粒制御候補化合物21種のうち、そのほとんどが既報のシグナル伝達経路や、転写活性に直接作用する化合物であった。しかし、2種の化合物については、同一の新規シグナル伝達経路の存在を示唆する作用点を有しており、市販の他の作動薬を用いて本経路のIgEシグナル伝達における重要性を検証したところ、RS-ATL8細胞のヒトIgEシグナルによるNFAT依存的転写活性を抑止し、マスト細胞の脱顆粒応答に影響を持つ事が確認された。そこで最終年度は、本シグナル経路の重要性について、阻害剤や遺伝子ノックダウンによる影響をマウス骨髄由来マスト細胞を用いて検証を行う。また一方で、IgEシグナル伝達阻害候補化合物を含む食品をマウスに投与し、食物アレルギー病態が軽減されるかどうかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニングにより得られた候補化合物についてマウスに投与できる量を確保することが困難となり、同等の薬理作用を示す市販化合物については高価なため、食物アレルギーマウスモデルへの投与実験等が実施できていない。現在、代替え実験等も検討しながら解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
マスト細胞の脱顆粒を制御する活性物質のターゲット分子の解析により、マスト細胞の新規IgEシグナル伝達経路の存在が示唆された。そこで、本経路が実際にマスト細胞の脱顆粒応答において重要な役割を果たしているかについて他の阻害剤等を用いて検討する。また、ヒトアレルギー患者血清に含まれるIgEに依存した抗原特異的なマスト細胞のシグナル活性化が遮断できるかについても確認する。さらに、食物アレルギーモデルマウスに投与可能な化合物候補を検討し、その抗アレルギー作用について解析を行う。
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Causes of Carryover |
解析の進捗に遅れが生じたため、遅延分の予算を次年度に繰り越した事により生じた。次年度は予定している解析を実行する。
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