2017 Fiscal Year Research-status Report
地域における軽度認知症高齢者に対する料理療法プログラムの開発と効果検証
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17K00919
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
湯川 夏子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40259510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛 勝彦 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (30324726)
鋤納 心 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (30645734)
明神 千穂 近畿大学, 農学部, 講師 (90529752)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症予防 / 地域包括ケア / 料理療法 / 調理 / 非薬物療法 / 認知症ケア / カナダ / 高齢者サロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域におけるMCI・軽度認知症高齢者に対する「料理療法」プログラムの開発である。具体的には1)地域における料理活動の先進事例調査およびプログラム開発2)1)のプログラムにおける料理療法の効果等について明らかにすることである。 1)〔国内〕料理活動の実施施設等について聞き取りおよび、一部では観察調査を行った。デイサービス、高齢者サロン、コミュニティカフェ、訪問リハビリテーションおよび認知症予防教室と、設置形態の異なる多様な施設や設備において、料理活動が実施されていた。調査は次年度も引き続き行う。 〔海外〕カナダ、バンクーバーにおける調査は、高齢者福祉政策や認知症高齢者施設の現状ならびに認知症予防について、Web および聞き取りにより実態調査を行なった。料理活動に関しては、高齢者施設、病院、コミュニティセンター等で認知症高齢者と対象としたアクティビティとして実施例はあるものの、療法的介入はほとんどみられなかった。これらに関しては調査を継続中である。さらに日系カナダ人を中心としたコミュニティ組織である「日系プレースシニアズ」「隣組」における、軽・中度の認知症高齢者を対象とした通所型サービスに値する「イキイキプログラム」の内容把握のために、訪問、聞き取り調査を行なった。 2)高齢者サロン1箇所(日本)において、料理療法プログラム試案を実施し、効果と課題について明らかにした。全5回の介入を行い、実施前後において主観的QOL、MCI検査、および全体評価等を行った。参加者は独居高齢者が多く、料理活動の定期的な開催は参加者間の人間関係の構築につながり、「料理療法」としての有用性が認められた。活動の全体評価では、認知症高齢者向け評価表を用いたため満点も多く、改良案を作成した。また、MCIの参加者について継続した参加がなかった。参加を忘れにくくする対策の必要性が課題として見出せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内、海外の調査とも、ほぼ予定通りに推移している。 国内調査については、予定どおり調査を進めると共に、一部予定を前倒しにして、プログラム試案について効果評価の実施を行った。 海外調査については、在外研究中の研究分担者明神氏が担当した成果である。聞き取り調査だけにとどまらず、日系カナダ人の高齢者に対して料理療法の導入を行う下地作りを行うなど予定を大きく超えた成果が見られた。その分、当初年度末に予定していた、研究代表者、他の研究分担者・協力者も参加して行う実態調査については、事前調査の期間を十分とるために、平成30年度に延期した。総合すると、おおむね順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、国内の調査については、引き続き、料理活動を導入している施設等の種別を広げて調査をすすめると共に、ビデオによる観察もさらに行い、料理活動の効果や課題、実施方法の共通性を明らかにする。 海外調査に関しては、引き続き、料理活動の実態調査を進めると共に、バンクーバー在住の日系カナダ人の高齢者に対して料理療法の導入を目指し、ボランティアによる支援方法の開発および評価方法の検討を行い、実際にプログラムを試行する。 また、他の研究者も含めて参加する実態調査については、平成30年7月に実施予定である。 以上の分析結果を踏まえ、日本におけるプログラムの試案を作成する。このプログラムについて平成31年度において試行と検証を行うこととする。
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Causes of Carryover |
海外における実態調査(日本からの訪問調査)を平成30年度に延期したため、調査にかかる渡航費および謝金が主に残額が生じた。 平成30年度に海外調査を実施し、使用する予定である。 そのほかの費用は、料理活動事例の訪問調査のための費用として主に使用する。
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Research Products
(8 results)