2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K00927
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
佐久間 理英 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (10551749)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血清リン濃度 / リン / 食習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
高リン血症は動脈硬化の促進因子であり、その健康被害は慢性腎臓病患者において長年問題視されてきた。しかし近年、健常者においても血清リン濃度の上昇が心血管疾患や死亡のリスクを増大させることが明らかとなり、血清リン濃度の管理が健康長寿を支える上で重要であることが解明されてきた。健常者における血清リン濃度の上昇は、食の欧米化 (動物性食品、飽和脂肪酸の摂取量増大)、加工食品の摂取量増大、食事摂取リズムの乱れ (朝食欠食、夜間飲食) など、近年に特徴的な食習慣の関与が示唆されるが、その関連性は明らかではない。そこで本研究は生体内リン代謝動態に及ぼす食習慣の関与を明らかにし、血清リン濃度の管理に適した食習慣を解明することを目的とした。 若年健常者109人を対象に、空腹時採血、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による過去1ヶ月間の習慣的な食事調査を実施し、血清リン濃度と食品群別リン摂取量および加工食品摂取頻度との関係性を評価した。BDHQから食品群別リン摂取量および、加工食品の摂取頻度を算出し、評価に用いた。対象者の血清リン濃度に従って集団を4分位に群分けし、関連する食事性因子を検討した。 総リン摂取量および生体利用性が比較的高い動物性食品由来のリン摂取量は、血清リン濃度と関連性を示さなかった。しかしながら、食品添加物を多く含むと推定される菓子類の摂取頻度は、血清リン濃度4分位間で有意に異なり、血清リン濃度が最も高い群は、最も低い群に比して、菓子類摂取頻度が高かった。以上の結果から、菓子類を習慣的に高頻度で摂取することは、血清リン濃度の上昇をもたらす可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画として、健常者を対象とした血清リン濃度と食習慣との関連性評価を予定していた。現在、若年健常者109名を対象として、採血、体組成測定および食事摂取頻度調査を実施し、データを収集することが出来た。またデータ解析の結果、血清リン濃度と菓子類摂取頻度との間に関連性を見出すことが出来た。よって概ねに順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、健常者を対象として血清リン濃度およびリン代謝指標と食習慣の関連性を評価する。現在までに、血清リン濃度と摂取源別リン摂取量との関連性を評価した。しかし「食事」はリンだけでなく複数の栄養素を同時に摂取するため、他の栄養素を含めた「食事全体」としての摂取パターンとの関連性についても評価する必要がある。よって今後は、血清リン濃度およびリン代謝指標と他の栄養素や食事パターンとの関連性に重点を置いて解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
採血に必要な消耗品や血液の測定が、当初の予定金額より安価であったため、次年度使用額が生じた。次年度は引き続きヒト試験を予定しているが、対象者数を予定人数より増やすことで、血清リン濃度およびリン代謝指標と食習慣の関連性を、より詳細に解析する。また、これまでの研究成果を英語論文にまとめて発表する。そのため次年度使用額は、対象者への謝金や血液検査委託費用、英文校閲料や論文投稿・掲載料として使用する。
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Research Products
(11 results)