2020 Fiscal Year Research-status Report
介護予防のために、 維持すべき下肢筋力と食事パターンに関する研究
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17K00942
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
太田 淳子 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (50619062)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 下肢筋力 / 負担感 / 高齢者 / 咀嚼能率 / フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2019年度までにデータの収集と報告を終了する予定で進めていたが、高齢者を対象とした研究であるため、新型コロナウイルスの影響を大きく受け予定通り研究を進めることはできなかった。2020年度は、データの解析と報告に重点をおき研究を進めた。下肢筋力の低下は本人が気づく以前から徐々に進行しており、そのため従来の歩行速度など身体パフォーマンスによって評価可能な状態であれば、すでに大きく筋力が低下していることが懸念される。従って、従来の評価法では評価できない程度の早期に下肢筋力の低下に気づくための方法として、本人の負担感の評価が有用である可能性について報告した(日本病態栄養学会誌、採択済、順次掲載)。また、本人の負担感が増すことで食の多様性が低下することにもつながることも考えられるため、幅広い年齢層の対象者を調査することができる地域歯科医院での調査を継続した。ここでも新型コロナウイルスの影響があり、ある程度の調査時間が必要な食事調査はほとんど実施できなかったが、口腔状態や咀嚼能率についてのデータを得ることができた。食事調査が出来ていないので、咀嚼能率を維持することによる食事や栄養を介したフレイルへの影響は検討できなかったが、心理的側面を介したフレイルへの影響を導くことが出来た。フレイルは、低栄養、サルコペニア、筋力や身体機能低下、心理的側面、認知症等、様々な因子が複雑に関係しあっている状況が報告される一方で、きっかけとなりやすい因子、言い換えると早期に評価し低下に気づくことで、フレイルの進行予防に効果を得られやすい因子があるとも考えられる。そのひとつとして社会性の低下が報告されているが、今回得られた心理的側面の評価も、低下のキーとなる因子としての可能性があると考える。現在はこの結果についてまとめて報告するために作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査対象が高齢者であり、病院や高齢者施設、歯科クリニックがフィールドであったため、新型コロナウイルスの影響が大きく、思うように研究を進めることはできなかったが、各施設の協力により、調査を可能な範囲ではあるが継続することができた。また、結果の報告についても、データの収集・整理・分析の遅れに伴い後ろにずれた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、これまでに比べて短時間で身体パフォーマンスを評価できる機器を用いた調査を、新型コロナの状況に合わせて継続している。これまでに得られたデータについては整理と分析、論文化を行っている。論文のテーマは①下肢筋力の低下による食の多様性の変化について、②咀嚼能率や「食べることができること」が心理的側面を介してフレイルに影響する可能性の2点である。①では、下肢筋力が低下するに伴って、どのような食品の摂取が影響されるのかを明らかにする。②では、咀嚼能率を維持することで、「食べることができる」状態の維持につながり、それが心理的にプラスに働き、フレイルサイクルを抑制する方向に働くこと、そして心理面には「おいしく食べたいものを食べることができる」ということが寄与しており、これらの関係を数値として示すことで、これからの地域における口腔領域での管理栄養士の貢献につながると考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、調査スケジュールがずれ込み、伴って、データの整理や分析も遅れている状況である。現在は、これまでのデータをまとめ報告する作業に入っているため、論文執筆にかかる資料や英語校閲に使用予定である。
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Research Products
(2 results)