2017 Fiscal Year Research-status Report
夜遅い食事は歯周病のリスクを上げるか?:食事の質と摂取時刻の比較研究
Project/Area Number |
17K00944
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
市川 知美 広島女学院大学, 人間生活学部, 准教授 (70412278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二川 浩樹 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 教授 (10228140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食事 / 摂取時刻 / 歯周炎 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は成人における歯の損失を招き、食べる機能を低下させる。また、歯肉の炎症部位から歯周病菌が血液中に流入することで糖尿病や動脈硬化などの全身性炎症を起こすことも知られており、生活習慣病の誘発や重症化に関与する疾患である。本研究は、食事の質と摂取時刻が歯周に与える影響を明らかにするため、日本人の食事摂取基準(2015版)で示されたバランスの良い食事(低脂肪・高食物繊維食)または国民健康・栄養調査で20歳代女性が平均的に摂取している食事(高脂肪・低食物繊維食)の2種類を1日3回規則正しく摂取する場合と夕食を夜遅い時刻に摂取する場合の2パターンで1週間ずつ摂取させ、歯周および全身の炎症状態や口腔内および腸内細菌叢に与える影響を評価した。 歯周の炎症状態は、歯肉の出血率から評価し、全身の炎症状態は、血中の高感度CRPにより把握した。その結果、歯周および全身のどちらも食事介入による炎症状態の変化は認められなかった。口腔細菌叢の検査からは、歯周病菌の1つであるPrevotella intermedia の割合が、バランス食を規則正しく食べた群に比べ、高脂肪で夜おそい食事を食べた群の方が多い傾向があった。排便回数は、バランス食を規則的に摂った群では週に6.9回だったのに対し、高脂肪で夜遅い食事群は、週5.6回と有意に減少した。糞便中の細菌叢組成は、現在分析中であるため不明であるが、食事による何らかの影響が生じているものと予想している。 今後は、同一の試験食と摂取時刻の組み合わせに、歯周病の予防効果があるとされるL8020菌を含んだヨーグルトを摂取させ、その予防効果について検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
13名の被験者に介入を実施し、最終的に9名の検体を分析した。糞便中の腸内細菌叢の分析については、作業が遅れているが現在遂行中である。2018年度の被験者募集も順調に行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、ほぼ予定どおり研究を遂行することができたが、歯周の炎症を生じるほどの大きな影響は確認できなかった。被験者が20歳代の健康な若年女性であり、肥満者や生活習慣病を有する患者に比べて炎症を誘発しにくいものと考えられた。今後は、糞便中の細菌叢を分析し、炎症につながる可能性について検討を行う。また、食事の質と夜遅い夕食による歯周や全身への影響が8020ヨーグルト摂取によってどの程度軽減されるかについても、口腔および糞便中の細菌叢の変化に着目して検討する予定である。
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Causes of Carryover |
口腔内細菌叢の分析費用の一部を次年度の支出として持ち越したため。
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