2017 Fiscal Year Research-status Report
多職種連携による幼児の食塩管理を主眼とした科学的な食育法の確立
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17K00946
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
安武 健一郎 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (00516726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永渕 美香子 中村学園大学短期大学部, その他部局等, 講師 (10648380)
田中 敏明 九州女子短期大学, 子ども健康学科, 教授 (50036935)
梶山 倫未 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (80734813)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食塩摂取量 / 食塩排泄量 / 変動量 / 地域差 / 幼児 / 保護者 / 減塩教育 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は、幼児(年中児:4-5歳)と保護者の食塩摂取量、変動量および地域差を起床後第1尿による尿中食塩(ナトリウム)排泄量から推定し、幼児と保護者間の食塩排泄量の関連や食行動等の規定因子ついて情報整備を行い、次にその結果に基づいて幼児を対象にした多職種連携による食塩管理を主眼とした科学的な食育のあり方を提案するものである。 平成29年度は、本研究計画に則り、目標研究対象者数、保護者と幼児400組(西日本200組、東日本200組)を目指して、2地域で6園(西日本:福岡県2園, n=205の年中児が在籍、東日本:福島県4園, n=223の年中児が在籍)の幼稚園を選定し、各園と我々研究チームの間で研究連携協定を予定通り締結することができた。次に、同年3月までに、各園の代表者との研究実施にかかる具体的な打ち合わせが完了した。その後、3月末日までに6園のうち3園に通園する年中児(4-5歳)の保護者に対する研究説明会を実施し、165組(福岡県:86組、福島県:79組、)の同意を得ることができた(残り3園の説明会は、平成30年4月末までに開催)。 同意を得た研究対象者には、妥当性が確認された食事調査票(幼児用:BDHQ 3y, 保護者用:BDHQ)および食行動アンケート票(幼児用)、尿サンプル回収キット(1人あたり4サンプル、母子1組あたり8サンプル)の資料一式を手渡しており、H30年度には、研究連携幼稚園との連携により、これらの回収を実施できる準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題では、日本の複数地域において幼児とその保護者の複数日の起床後第1尿を採取することで、次のサブテーマについて研究を行うものである。すなわち、(1)幼児とその保護者の随時尿による食塩排泄量の現状と問題点に関する情報整備と食事調査および食行動アンケートによる幼児の食塩摂取量に関する規定因子の探索、(2)多職種連携による食塩管理を主眼とした食育の検討の2点である。 (1)の研究は、平成29-30年度で実施することになっており、平成29年度は研究連携幼稚園との連携協定締結および研究対象者の同意取得を、当初の研究計画どおりに実施できた。さらに、平成30年度4月以降に実施する予定であった研究説明会および研究同意の取得を3月末までに、6園のうち3園で終了できており、計画よりも若干早いペースで研究が進んでいる。同意者数は、6園のうち3園の中間集計で165組(福岡県:86組、福島県:79組)であり、目標研究対象者数400組の到達は難しいと予想されるが、本研究を実施する上で十分な研究対象者数を確保できる見込みである。 (2)の研究は、データ解析終了後の平成31年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、本研究の2つのサブテーマのうち、(1)「幼児とその保護者の随時尿による食塩排泄量の現状と問題点に関する情報整備と食事調査および食行動アンケートによる幼児の食塩摂取量に関する規定因子の探索」についての研究を進める。具体的には、同意を得た研究対象者に対して、H30年度の4-5月(春季)と10-11月(秋季)の各2日間(4日間/年)で幼児と保護者が同日の起床後に排泄する最初の尿の一部(5mL程度)を指定の容器に採取するよう依頼する。採取した幼児と保護者の尿は、1日毎に通園している研究連携幼稚園に持参してもらい、速やかに専用の冷凍庫で保管した後、研究協力員により低温下で回収され、分析される。尿の分析項目であるナトリウム、カリウムおよびクレアチニン排泄量から個人の食塩摂取量・変動量を推定し、それをベースに地域差(西日本 vs. 東日本)や幼児と保護者間の関連を解析する。また、各研究連携幼稚園との連携により、研究対象者から食事調査票(幼児・保護者)および食行動調査票(幼児)の回収を行い、データのチェックを進める。ただし、我々は、幼児の複数日の尿を回収することが想像以上に難しいことを過去の研究で経験しており、さらに本研究では保護者の非月経日の尿を幼児と同日に採取することから、その困難性は高まることが想定される。そのため、同意撤回が多くならないよう、研究連携幼稚園との緊密な連携のもと、尿回収日を複数日設定し、研究対象者からの電話・メール等による問い合わせ対応を丁寧に行う。 研究データを集計後、尿中排泄量、食事調査および食行動アンケートによる幼児の食塩摂取量の現状と問題点に関する情報を整備し、食塩摂取量に関する規定因子を解析する。 サブテーマ(2)「多職種連携による食塩管理を主眼とした食育の検討」は、サブテーマ(1)の結果をベースにとして平成31年度に進める予定である。
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Causes of Carryover |
計上されている支出以外に、研究連携幼稚園で尿検体を保管する冷凍庫(物品費)と、研究説明会の実施(6園のうち3園)にかかる支出(旅費、その他)を平成29年3月に予定通り使用した。したがって、今年度の事実上の支出は、計上されている金額に、それらを加えた金額となり、ほぼ予定通りの使用額となる。しかし、これらの支出が年度末であったことから、本学の経理運用上の理由により、これらを平成30年度に計上することにしたため、予定よりも少ない金額の計上となった。
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