2018 Fiscal Year Research-status Report
物理問題の解決方略とその認知過程の視線追跡技術を使った分析及び形成的評価への応用
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17K00955
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 栄三 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (60271615)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 視線追跡 / 問題解決 / 物理教育 / 力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)視線計測の実験で使用する物理の問題を、フィンランドとチェコとの共同で開発し、高校生を対象にした実験を開始した。解答をグラフと文章の2種類の選択肢で提示する問題である。フィンランドから5月に研究者が来日し、本研究の研究代表者の所属大学で打ち合わせを行った。その後、インターネットを利用したテレビ会議、電子メールによるやりとりを経て、4つの問題を作成した。高校生は左側に書かれた問題文を読み、右側にあるグラフと文章で与えられた5つの選択肢から解答を選ぶ。本研究では、高校生が解答する間の視線の動きを計測した。フィンランドが先行して実験を行ったので、その結果をまとめ国際会議で発表した。研究代表者は共著者に加わっている。会議後に投稿した論文は、今後出版されるプロシーディングスに掲載されることになった。 (2)日本の文系大学生を対象に行った実験データをあらためて精査し、速度、加速度の概念についてどこまで理解しており、それを問題解決に利用できているかを分析した。直線運動するブロックの位置が一定の時間間隔で描かれている図を見て、複数のブロックの速度を比較したり、ブロックの加速度を評価する問題に着目した。分析の結果、大学生が解答を開始してからの視線の動きの変化で、正解に気づいた時刻を確認することができた。正解を導くことができなかった学生は、ブロックの特定の位置に注目して考えており、速度の概念を使いこなすまでには至っていないことが推測できた。この結果を、学会、国際会議で報告した。 (3)昨年度投稿した論文に対する査読意見へ対応し、学術雑誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度前半、視線計測システムに不具合があり、メーカーによる計測装置の検査、使用しているPCの適合性を確認することに時間を要した。高校生を対象にした実験を年度後半に移さねばならなくなった。さらに、2018年11月に研究代表者が左足首を骨折したため、高校等の学外に出向いて計測することが無理になった。これらの事情で、高校生を対象とした実験計測が遅れている。台湾での国際会議で発表する予定であったが、骨折事故のため、ポスター掲示のみで対応することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
視線計測装置のトラブルは使用していたPCの不適合が原因であることがわかった。適合したノートパソコンを購入し問題は解決した。骨折治療も終了し、学外に出向いての計測が実施できるようになったので、遅れている高校生を対象にした実験計測を再開するとともに、理工系大学生を対象とした実験計測も進めていく。
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Causes of Carryover |
視線計測装置のトラブルと研究責任者の左足首骨折のため、当初計画していた実験計測と学会報告が実施できなくなり、次年度に行うことになった。
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Research Products
(6 results)