2018 Fiscal Year Research-status Report
分光観測を深化させた太陽観測システムの科学教育への導入
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17K00958
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野澤 恵 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (10261736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩野 正興 国立天文台, 太陽観測科学プロジェクト, 専門研究職員 (90437195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 太陽分光器 / 多波長観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、太陽分光観測を深化させるため、基礎的な実験を行う施設として「天体観測用望遠鏡格納庫」を昨年度導入した。その格納庫で分光器の実験や設計を行っている。前課題であった太陽自作分光器の改良で培ったもの応用し、専用分光器の製作のため、基礎的な実験が行えるよう光学定盤の上で分光実験を今年度は中心に実施した。国立天文台の先端技術センターや太陽研究者と議論を行ない、分光器の基本部分から製作、光路の確認等を行った。これにより次年度の専用分光器への道筋ができた。また太陽観測において、大気の擾乱を測定する必要があり、この擾乱を数値的に評価することも行い、観測で得たデータの質的な指標となるパラメーターの導出も行った。これについては、共同研究として自然科学機構の乗鞍観測所や京大飛騨天文台での観測を行い、研究会や学会等で報告も行った。 同時に太陽の多波長観測である電波での観測も行い、発生したフレアの解析も進めるため、e-callistoという全世界規模の太陽電波観測ネットワークから提供された受信機を用いて、受信設備を構築し、年間を通してデータの供給を行うことができた。コロナ観測に関しては、自然科学機構の共同利用で乗鞍観測所で観測を行うことができたが、散乱光とコロナとの分離を進めているところである。そして、観測を無人化する研究について、arduinoマイコンや Raspberry Pi などを用いて、試作を行っている。以上、本年度は中心である分光器を含め、順調に進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状の分光器の基本理解のため、光学定盤上で太陽分光器の製作を行った。太陽導入するための装置の工夫による長時間の観測では、熱による分光器の伸縮や光路の曲がりなど、また焦点のズレなどの問題が新たに分かった。また、この基礎的な実験を行う施設として「天体観測用望遠鏡格納庫」を昨年度に導入し、その格納庫で分光器の実験や設計を行うことができた。これにより次年度に専用分光器の製作ができる目処が立った。また共同研究者として国立天文台の分担者を新たに加えることにより、製作や加工の議論だけでなく、実際の観測も共同で行うことができ、専用分光器の作成への道筋がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った基礎的な分光器の製作により、専用分光器の作成への道筋ができた。実際の太陽観測は専用分光器が主になるため、上に挙げた調整機構の導入、軽量化、熱膨張や焦点のズレなどの対策は、製作後のバーツで行う必要がある。このため、分担者となった国立天文台の研究者との共同研究の遂行により、上記の対策を講じたパーツの設計の改良を進めることができる。また観測を無人化する研究も並行して行っていく。この専用分光器もできるだけ無人化して稼働できるようなシステム構築を外部の研究者と議論を行う予定である。また、光学観測だけでなく、電波観測や、観測状況の把握のための地球大気のモニター観測なども行う予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] V232b 太陽像によるシーイング観測の季節変化調査2019
Author(s)
宮良碧, 浜屋ひかり, 小野寺幸子, 萩野正興, 篠田一也, 大辻賢一, 木村剛一, 仲 谷善一, 一本潔, 山本大二郎, 野澤恵, 三浦明則
Organizer
日本天文学会2019年春季年会
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[Presentation] V256b 太陽シンチレーションモニタによる高度依存調査2018
Author(s)
浜屋ひかり, 宮良碧, 小野寺幸子, 山本大二郎, 野澤恵, 木村剛一, 仲谷善一, 大辻賢一, 一本潔, 萩野正興, 篠田一也, 日々野由美, 三浦則明
Organizer
日本天文学会2018年秋季年会