2018 Fiscal Year Research-status Report
長野県デジタル地質図2015を利用した地域密着型地学教材の開発
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17K00965
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹下 欣宏 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (00578271)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地質図 / 地質データベース / 地学教材 / 石ころ / 河床礫 / 岩石標本 / 大地の生い立ち |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き地質データベース構築に向けた基礎資料の収集として長野県内の犀川(長野市)、木曽川(大桑村)、三峰川(伊那市)、中田切川(駒ヶ根市)の河原にて河床礫を採取し、前年度の調査とあわせ、長野県内の主要9河川における河原の礫(石ころ)の採取が完了した。採取した礫を鑑定し、岩石名を判定するとともに、その特徴を平易な言葉でまとめ、標本ラベルを作製し、岩石標本を完成させた。研究メンバーの富樫均氏の協力を得て、博物館展示にも使用することができ、持ち運び可能な幅約180cm、高さ約270cmの大型の長野県地質図を長野県デジタル地質図を基に作成した。以上作成した標本と地質図を用いた企画展示が、研究メンバーの関めぐみ氏が勤務する野尻湖ナウマンゾウ博物館で開催中である。 研究メンバーの桐生和樹氏が勤務する県内の小学校にて、本研究で作成した岩石標本を使った授業を実践し、河原の石ころを使った標本が小学校の教材として十分使用できることがわかった。研究メンバーである中川知津子氏の勤務校の高校生が、信州総文祭で地形・地質および植物観察会を企画運営した。この取り組みを通して、長野県デジタル地質図は、目的意識をもって事前学習を行えば高校生が案内役を務める地形・地質観察会でも十分利用可能であることがわかった。研究メンバーの土屋武史氏が所属する長野県総合教育センターの講座として、長野県デジタル地質図と河原の礫を使って、長野県の大地の生い立ちや岩石の鑑定法を学ぶことができるプログラムを構築した。 サイエンスデザイナーの笹岡美穂氏を講師に招き、河原の礫に秘められた大地の歴史を可視化(ストーリー化)する試みをワークショップ形式で開催した。研究チームの活動や長野県デジタル地質、岩石の鑑定法を紹介するホームページを立ち上げ、小・中学校の教員が継続的に利用できる地域密着型地質データベースの基礎を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年、2018年の活動で長野県内の主要な9河川(梓川・高瀬川・松川・小渋川・千曲川・犀川・三峰川・木曽川・中田切川)の河原の礫を使用した岩石標本を予定通り完成させることができた。 完成した岩石標本を試行的に小学校の理科の授業で使用し、有用性を確かめることができた。信州総文祭の巡検を通して、長野県デジタル地質図は、目的意識をもって事前学習を行えば高校生が案内役を務める地形・地質観察会でも十分利用可能であることがわかった。小・中・高校の教員を対象とした地質図と河原の石ころを利用した大地の生い立ちや岩石のでき方を学ぶプログラムを構築し、実践した。作成した岩石標本と大型地質図を活用した企画展示を野尻湖ナウマンゾウ博物館にて開催し、一般の方にも地質図と石ころの魅力を広く発信することができた。 以上のような授業や講座、博物館展示などでの活用は2019年度を予定していたが、先行して2018年度に実施することができた。また、長野県デジタル地質や岩石の鑑定法を紹介するホームページを立ち上げ、小・中学校の教員が継続的に利用できる地域密着型地質データベースの基礎を構築することができた。 また研究代表者は、2017年4月より2018年12月まで長野県の地方新聞(信濃毎日新聞)の紙面において、月に1回のペースで長野県の山の楽しみ方を紹介した。この執筆作業を通して地質図と地形利用や河原の石ころとの関連性の整理が進み地質データベースの基礎資料を充実させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
河原の礫に秘められた大地の歴史を可視化(ストーリー化)するワークショップを開催し、地質図や岩石に苦手意識をもつ人たちに興味をもってもらえる表現方法を模索する。最終的には小中学校の授業や博物館の展示パネルに使用できるレベルを目指す。 作成した岩石標本や地質図の授業や展示での活用法を探り、教材を開発する。授業や展示後は「実感をともなった大地の理解」の観点から、その有用性と改善点について整理・評価する。 2018年度に立ち上げたホームページに、これまでの活動で収集した礫と露頭の基礎資料(大地のストーリー含む)を地質図と関連付けてまとめ、小中学校の教員が気軽に利用可能な地域密着型の地質データベースを構築する。
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Causes of Carryover |
消耗品が見込みよりも安くあがったため、わずかではあるが次年度使用額として残った。2019年度の消耗品費として使用する予定である。
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Remarks |
研究チームの活動や長野県デジタル地質、岩石の鑑定法を紹介するホームページを立ち上げ、小・中学校の教員が継続的に利用できる地域密着型の地質データベースのプラットフォームを構築した。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] 千葉セクション:下部‐中部更新統境界の国際境界模式層断面とポイントへの提案書(要約)2019
Author(s)
菅沼悠介, 羽田裕貴, 林広樹, 本郷美佐緒, 兵頭政幸, 板木拓也, 泉賢太郎, 亀尾浩司, 木村純一, 小島隆宏, 久保田好美, 中里裕臣, 西田尚央, 岡田誠, 荻津達, 奥田昌明, 奥野淳一, 里口保文, 仙田量子, SIMON Quentin, 末吉哲雄, 紫谷築, 菅谷真奈美, 竹下欣宏ほか10名
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Journal Title
地質学雑誌
Volume: 125
Pages: 5-22
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Paleoclimatic and paleoceanographic records through Marine Isotope Stage 19 at the Chiba composite section, central Japan: A key reference for the EarlyeMiddle Pleistocene Subseries boundary2018
Author(s)
Suganuma Yusuke, Haneda Yuki, Kameo Koji, Kubota Yoshimi, Hayashi Hiroki, Itaki Takuya, Okuda Masaaki, Head Martin J., Sugaya Manami, Nakazato Hiroomi, Shikoku Kizuku, Hongo Misao, Satoguchi Yasufumi, Takeshita Yoshihiro, Okada Makotoほか10名
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Journal Title
Quaternary Science Reviews
Volume: 191
Pages: 406-430
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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