2017 Fiscal Year Research-status Report
火山・気象現象に関する科学的な問いの生成を促す理科教材・指導法の探究
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17K00980
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
土田 理 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10217325)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 初中等教育(算数・数学,理科,情報) / 科学教育 / 問いの生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,これまで16年にわたって蓄積してきた膨大な桜島画像データを基に,火山活動,気象現象に関する科学的な問いの生成(質問づくり)を促すことで地学領域に関する科学的思考・判断力を促進し,防災に対するハザードスキルを獲得できる理科教材の開発を目指している。 平成29年度は,研究項目1)「気象や火山活動についての問いの生成キーワードとキーイメージの抽出と分析」を中心に研究を進めた。科学的な問いの生成を児童・生徒が行うためには,そのトリガーとなる気象や火山活動についてのキーワードとキーイメージが必要である。例えば,「雲は水滴の集まりである」という科学的な事実が問いの生成のキーワードであり,これに関連したキーイメージとしては桜島周辺に観察される底辺が平らな雲画像と,桜島周辺で雲が作られる様子の動画などが考えられる。そこで主要なキーワードとしては,小学校の理科学習指導要領解説理科編,小学校で現在使用している理科検定教科書(大手5社)の3年生から6年生までのB区分「生命・地球」に関する「地球と宇宙」の単元から,記述されている「問い」をすべて抽出した。 その結果,検定教科書においても「問い」の数には差があり,特に火山活動に関する「問い」はその他の問いに比較して,その数はきわめて少ないことが明らかになった。 また,キーワードに関連したキーイメージは,これまで蓄積してきた桜島定点観測カメラと全方位定点観測カメラの記録映像からなる「桜島と雲」データベースを中心に,抽出と動画化を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内のプロジェクト担当者から専門的知識の提供,ギリシャのRACCEプロジェクト担当者からの資料の提供などを平成29年度中に行うことが出来なかった。平成30年度に遅れている部分の取り戻しを行う計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に行えなかった,国内のプロジェクト担当者から専門的知識の提供,ギリシャのRACCEプロジェクト担当者からの資料の提供などは,平成30年度に継続して行う計画である。その上で,平成30年度は,以下の項目の2)に重点を移していく計画である。 1)気象や火山活動についての問いの生成キーワードとキーイメージの抽出と分析,2)1)の成果をもとに,問いの生成授業試行案を作成し,附属学校等において試行と分析,3)2)の成果をフィードバックした問いの生成授業の改良版による研究授業の複数実施と分析,4)火山活動や気象現象について科学的な問いの生成を行う理科教材と授業方法の提言 具体的には,平成29年度の成果をもとに,小学校理科B区分「地球と宇宙」,気象現象と火山活動に関する科学的な問いの生成を目指した授業計画と教材を作成する。作成した授業計画に沿った授業試行案を検討,試作し,本学附属学校において試行授業を行う計画である。さらに,中学校理科検定教科書の第2分野「地球と宇宙」からの問いの抽出と分析も合わせて行い,中学校理科における試行授業計画の作成を予定している。
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Causes of Carryover |
(理由)謝金等に計上した未使用金が残金として生じた。 (使用計画)平成30年度予算に組み入れて使用する予定。
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