2018 Fiscal Year Research-status Report
高精細3D再構築画像を用いたインタラクティブ電子教材の開発と生命科学教育への活用
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17K00981
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小畑 秀一 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (10204273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門谷 裕一 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10185887)
林 徹 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (10454266)
木村 武俊 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (80327444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デジタル教材 / 光学顕微鏡画像 / 立体再構築 / 動物胚 / 椎骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に確立した立体再構築画像作成に必要不可欠な一連の処理法を用いて、stage 51とstage 59のアカハライモリ幼生の腰部の立体再構築画像を作成した。stage 51幼生では956枚の連続切片を、また、stage 59幼生では917枚の連続切片を用いた(いずれも切片の厚さは1マイクロメートル)。立体再構築画像の作成には至っていないが、これらのstageのほかに、stage 30, 41, 60の幼生でそれぞれ数十枚の切片を作成した。さらに、透過型電子顕微鏡観察およびアルシアンブルー染色による骨化と軟骨形成の様子も調べ、アカハライモリの発生過程における椎骨の形態形成機構を解析した。その結果、(1)stage 51幼生では脊索の分節化は始まっていたが、骨化は開始していないこと、(2)stage 57~59にかけて、脊索の分節化はさらに明瞭になると共に、骨化が始まっていること、(3)椎弓領域では軟骨をひな形とする軟骨外骨化の様式をとる一方で、椎体部分では軟骨をひな形としない膜内骨化の様式をとることが明らかになった。さらに、作成した立体再構築画像は様々な部位の構造を全体との関連で観察することが可能で、高等教育における教材として使用に耐える高品質なものを作ることが出来た。 問題点も幾つか見つかった。高分解能バーチャルスライド作成では、高開口数の対物レンズを使用するため、1切片あたり数百~数千枚の写真撮影が必須である。複数の試料に対して、これを手動で行うのは不可能ではないが非現実的である。さらに、大容量データセットから3D再構築画像を作成するには、現有のワークステーションでは不可能であった。 当初の予定にはなかったが、2種のウニの胞胚~プリズム幼生、各発生段階のニワトリ胚のエポキシ樹脂包埋試料を作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
stage 51および57のアカハライモリ幼生尾部については、当初の予想を上回る高精細な立体再構築画像を作成することができた。さらに、他の顕微鏡法や染色法を組み合わせることにより、アカハライモリの椎骨形成のしくみの一端を解明できた。腎臓と唾液腺については、立体再構築画像を作成するには至らなかったが、2種のウニの胞胚からプルズム幼生、さらには、複数の発生段階のニワトリ胚をエポキシ樹脂に包埋することができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、1つでも多くの発生段階のアカハライモリ胚の立体再構築画像を作成する。加えて、腎臓、唾液腺、アカウニ胚、バフンウニ胚、ニワトリ胚についても可能な限り多くの立体再構築画像を作成する。これと並行して、作成した立体再構築画像を授業で効果的に利用する方法(学生への提示法を含む)を確立する。3D再構築画像データをさらに有効利用するためには、構造全体および特定の構造の抽出(サーフィスレンダリング像作成)を高い精度で行う必要がある。そこで、人工知能を活用した構造抽出のための実現可能性の高い具体的方法を探る。
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Causes of Carryover |
研究分担者2名の試料作成に必要な物品が研究代表者の購入分と共有できたために生じた分が大きい。次年度では、連続切片作成から立体再構築画像の作成およびデジタルデータの保存を行うために必要な物品費、作成した立体再構築画像の学生への提示法を確立するための物品費、成果の一部を学会発表するための旅費、報告書作成のための印刷費などとして使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Novel erythrocyte clumps revealed by an orphan gene Newtic1 in circulating blood and regenerating limbs of the adult newt2018
Author(s)
Casco-Robles Roman M., Watanabe Akihiko, Eto Ko, Takeshima Kazuhito, Obata Shuichi, Kinoshita Tsutomu, Ariizumi Takashi, nakatani Kei, Nakada Tomoaki, Tsonis Panagiotis A., Casco-Robles Martin M., Sakurai Keisuke, Yahata Kensuke, Maruo Fumiaki, Toyama Fubito, Chiba Chikafumi,
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 8
Pages: 7455
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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