2018 Fiscal Year Research-status Report
電子黒板・デジタル教科書をベースにした数学ソフトを利用したミニ数学実験教材の開発
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17K00985
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清水 克彦 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (00192609)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 数学実験 / ICT活用 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
教材の開発と実施】今年度は、昨年度に開発したフィボナッチ数の整除性についての、ミニ数学実験の教材開発と統計的内容におけるミニ実験の検討を進めた。フィボナッチ数の整除性については、敷き詰め課題の条件を変えることで、それが様々な数列や整除性を生み出すことを、教材研究を通して発見した。統計的な内容においてもデータを変化させるなどのミニ実験が可能であることを見出した。さらに、フィボナッチ数の整除性については、昨年度開発した教材を修正して、実際に大学生を対象にRLA(研究者の活動を模した活動)というアクティブラーニングにおいてグラフ電卓を用いたミニ実験を実施し、大学生がどのようにミニ数学実験を進めることができるのかについて検討した。実施の結果、大学生においても、数列のパターンや整除性の性質についての発見はやや困難な課題であり、特に、推測を適切な数学の用語や概念で記述することを行おうとせず、日常的な言葉で記述する傾向が分かった。ミニ実験の教材開発において、このような点について配慮が必要であることが明らかになった。 ミニ数学実験のプロセスの検討】今年度はまた、昨年度の経験を踏まえて、数学実験のプロセスについて再検討を行った。過去の学習指導要領解説理数科編において挙げられていた数学的実験のプロセス、小池一夫の挙げる数学実験のプロセス、さらには、Mathematical experiment in actionにおいて挙げられている数学的実験のプロセスについて比較検討を行った。その結果、実験・観察のフェーズ、推測の発見ならびに明確化・言語化のフェース、検証のための再実験のフェーズ、証明を作成するフェーズ、他の理論との関連付けのフェーズ、検証において反例が現れたときの対応のフェーズなどがあることが同定できた。今後、学校数学におけるミニ数学実験ではどのフェーズに焦点化するかが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、比較的順調に進めることができたが、今年度は、学会の開催などの行事への対応がある研究に割ける時間が減少した。 また、教材開発と検証が思ったほど進捗せず、予定した進捗よりやや遅いものとなった。また、実証授業からミニ数学実験のプロセスを見直す必要性がでてきたための、その為の研究に時間を割くことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、以下の研究を進めることとする。 1)教材開発の継続】現在、カレンダーの問題に似た、奇数や偶数の正方形は配列の問題ならびにナポレオンの定理とファン・オーベルの定理の関連についての問題をミニ数学実験化することを計画中である。 2)ICTの活用の検討】Geogebraならびにグラフ電卓をどのように活用するかを計画的に盛りこんだミニ数学実験の教材化を計画中である。 3)実線授業の実施】大学生に対する授業の実施ならびに教員研修において利用したときに教師の感想を得ることを行う予定である。また、可能であれば高校生対象の実践を行いたい。
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Causes of Carryover |
学会参加を東京開催の学会でしたため。 物品の購入を来年度に繰り越した。
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