2018 Fiscal Year Research-status Report
材料分析の装置作りにつなげる数学・物理・工学の融合教育教材
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17K00997
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 健二 石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (50249778)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教育教材 / 分析装置作り / X線光電子分光法 / ものづくり / 物理現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先端材料分析装置を用いた測定に終わることなく、分析装置作りにつながる教育展開を試みるものである。小学生、中学生、高校生、高専生、そして大学生と広い分野で利用できる教材を各種準備するものである。 平成30年度の計画は、実際の分析機器として励起源とアナライザーを設計した。実際の製作は費用の関係から、次年度に実施することとした。またXPSスペクトルの解析方法は複雑でソフトウェアを用いて数学的に波形分離される点から、この分離方法を検討した。この他、平成31年度に実施予定のビデオ教材や本校独自の「オーダーメイド数学活用大事典システム(OMM)」を用いたシステム構築を実施した。更にアクティブラーニング用の教材としても有効なSTEM教材の構築と実践を実施した。高専で実施されている豊富な実験実習の中から、半導体のエネルギーギャップを推定する教材を構築し、他高専の学生や海外の大学生に実施した。グローバル教育の一環として交流のある台湾国立嘉義大学理工学院電子物理系の学生2名に実施できたことがきっかけとなり、今度はその学生2名が本校を訪問する機会に恵まれ、国際共同教育につながっている。この他の教材としては、超伝導体の作成と評価、マイコンを用いた電子情報分野の導入教育についても行った。これらの成果を国内や国外の学会で研究発表した。昨年度に実践した小学生向け教育教材の成果を全国高専フォーラムにて発表した。XPSスペクトルの波形処理に関する成果を国際会議(マレーシア・クアラルンプール)や北陸地区学生による研究発表会にて発表した。STEM教材の実践報告も国際会議(イギリス・バーミンガム)(日本・東京)や応用物理学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定していた計画を実施することができたので、おおむね順調に進展していると判断できる。励起源およびアナライザーの設計ができたことと、高専・大学生向け教材として「周囲温度をパラメータとしたダイオードの電圧-電流特性測定」からシリコンのエネルギーバンドギャップを概算する一連の教材を構築し、実際に他の高専生や海外の大学生に実施することができたからである。また令和元年度に実施予定の計画を前倒しし、ビデオ教材やe-ラーニングのシステム構築を一部できたことも理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、研究3年目となり、実際の材料分析システムの構築を行う予定である。励起源の希ガスはヘリウムを利用する。数10電子ボルトの低エネルギーのヘリウムイオンは表面との相互作用から電子を放出させる励起源と成り得るからである。また加速電圧を数kVにすることで表面スパッタ源としても利用が可能となる。構造はグリッドとフィラメントが主な部品となり、イオンゲージを利用した簡易型のタイプに設計した。アナライザーについては、電子増倍管を利用したタイプとし、グリッドは平行平板型とした。これは構造が簡単であり、製作しやすいからである。実際の材料分析装置には高性能のアナライザーが搭載されているが、基本的には材料表面から放出された電子を検出している点は同じである。ただし、教材として製作するアナライザーは真空装置内に入れて、試料そばで電子を取り込む必要があるので、小型のタイプが望ましい。真空装置内で励起源およびアナライザーの動作試験を実施する予定である。測定システムも同時に構築する。この他に、ビデオ教材やeラーニングシステムの構築も進める予定である。これらの成果を積極的に内外の学会等で発表を行い、融合教材の問題点や課題を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度に励起源およびアナライザーの設計および製作を予定していたが、設計のみとし、平成31年度実施予定の計画を前倒しで実施した。そのため翌年度に設計したものを製作するために助成金を繰り越したため次年度使用額が生じたものである。
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Research Products
(13 results)