2017 Fiscal Year Research-status Report
農業ロボットの実地試験を題材としたロボット利活用・開発人材育成手法の研究
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17K00999
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
亀山 建太郎 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60450136)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会実装教育 / ロボットリテラシー / 農業用ロボティクス / 科学教育カリキュラム / 農工連携 / 科学教育 / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロボットが活用される社会の実現に向け,近年では人との共生を想定したロボットの開発が進んでいるが,その活用にはサービス事業者等のユーザーにおいても,ロボット活用のリテラシーが必要である.そこで本研究では,ロボット利活用社会の実現に必要な『現場の問題を理解し,ロボットの導入/活用による問題解決/改良・開発提案ができる人材』の育成手法について,『ロボットの農業への適用』をテーマとして開発を行っている.1年目の目標は,演習カリキュラム詳細構想および教室演習用と水田実習用ロボットの2種類の製作であった.本年度の成果を以下に述べる. 1.教室演習用ロボットおよび演習カリキュラムの開発:水田におけるロボット運用試験の経験を反映した演習カリキュラム,演習用ロボット,教材(実施手順書,説明用プリント,アンケートなど)を製作した.演習用ロボットはキット(TETRIX)とソフトウェア(Labview)を購入すれば,他校でも実施可能なように構成している.また,有志学生(機械工学科3年3名)を対象として,ロボット利活用実習の試行を行った. 2.水田実習用ロボットの開発:水田でロボット利活用演習を行うための無線操縦ロボットを製作し,実験水槽にて試験を行った.本ロボットは,除草等を行うためのプラットフォームとして開発した物が基礎となっており,学習者がロボットの利用法を検討する過程でロボット利用者としてのリテラシーを身に着けることを期待したものである.実験水槽には,土の代わりにガラスビーズを用い,可視性を高める工夫をした. 3.研究成果の授業への適用(高専における農工連携の推進):本学では,平成31年度より全学科の4年生を対象としたPBL科目を新設する.学生が与えられる課題のひとつとして本演習を実施予定となったことから,対象学生を機械・電気電子工学の素養を持つ学生に限らないとして研究を進めることとする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,ロボット利活用社会の実現に必要な『現場の問題を理解し,ロボットの導入/活用による問題解決/改良・開発提案ができる人材』育成手法の開発を目的とする,H29年度からの3年計画である.H29年度の目標は,30,31年度に実施する演習カリキュラムの詳細検討と教材開発であった.以下に,平成29年度の進捗を項目毎に示す. H30年度に実施する演習カリキュラムの詳細検討および教材開発:H30年度に実施する「ロボットの基礎知識を座学と実験で教授した後,問題に対する解決方法をメカ/ソフトに分けて提案・比較した後,複合的なアプローチを提案する実習」について,「水田実習で起こる問題をモデル化した実習フィールドにおいて,走行試験と評価・改良を行う実習」を構想し,実習用ロボットおよび教材を製作した.計画では,単機能の市販ロボットを複数台準備する予定であったが,メカ改造の検討を容易にするために,ロボット製作キット(TETRIX)で構成したものを一台準備した.制御系は,予定通りLabviewとMyRioを用い,無線操縦・自律走行の切り替えが可能である.また,有志学生を対象として,カリキュラムの検証までを行った. H31年度に実施する演習カリキュラムの構想および教材開発:H31年度に実施する「水田用除草ロボットの運用試験を行い,運用方法や改善の提案を行う」という実習について,無線操縦ロボットを製作し,実験水槽における走行を確認した.また,実験水槽は,挙動の観察が容易なアクリル製模擬水田を製作するとしていたが,これに加えて,泥の代わりにガラスビーズを敷くなど,実習が簡単に行える工夫をしている. また,学会への参加についても,予定した高専フォーラムと関連学会2件に参加している. 以上のように,1年目の進捗は予定通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には,応募時に示した研究計画・方法に従って研究を進める. 平成30年度には,平成29年度に準備したカリキュラムと教材を用いた演習を試行し,評価と改善を行う.平成29年度にも試行的に演習を行っているので,その結果を分析し,平成30年度のカリキュラムに反映する. 予定では,演習は,1グループ4~6人で,C言語によるプログラミングおよび4年生までに学ぶ機械工学の基礎を習得している学生を想定するとしていたが,ロボットユーザーが機械工学の素養を持つとは限らないこと,平成31年から他学科の学生を対象に本カリキュラムの実施が可能となったことを鑑み,学習者の学科を想定しないものとする.また,授業は来年度から始まることから,本年の試行も有志学生を対象として実施する. また,平成31年度に実施予定のPBLで用いるロボットは動作確認済みではあるが,非専門学生が継続的に扱うことができる程には完成度が高くないため(一部に動作不良),平成31年度以降の授業での実施を想定して,引き続き開発を続ける.その際には,昨年度作成した実験水槽を用いて挙動の観察を行うなど,平成31年度のPBLの試行を兼ねる. H30 年度の成果をまとめて,高等専門学校教育教員研究集会(高専フォーラム)/関連学会(ROBOMECH2018)に参加して発表を行う.
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Causes of Carryover |
予算の繰り越しが発生した.理由としては,年度末の実験中に追加素材の必要が生じて物品購入を検討したが,予定より納品に時間がかかることが判明したため,代替品にて実験を行い,次年度以降に実施する実験では正式な素材を用いることとして,年度をまたいで物品購入を行ったというものである. なお,本年度の実験は,次年度以降に実施予定としていた実験に対する予備実験であるため,研究の進捗に特に問題は生じていない.
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Research Products
(4 results)