2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of the soccer robot using AI system and its demonstration
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17K01000
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
杉浦 藤虎 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (70206407)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 工学教育 / 創造性教育 / ロボット / 実践教育 / ものづくり / 高等専門学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はサッカーロボットを用いた出前授業において,多くの体験希望者の要望に答えるため,人工知能を応用したコンピュータ対人間の対戦システムの開発,およびロボットによるシンクロダンスシステムの構築を目的として実施している。 H29年度に,従来のデスクトップ1台,ノートPC2台によるシステム構成を,ノートPC1台で代替できるようにしたが,使用できるカメラの種類や条件が限られるという,ハードウェア的課題が残されていた。一方,ソフトウェア的には,ベースとなる新システム上で,従来よりもわかりやすく洗練されたプログラムを構築できた。出前授業時のサッカーの試合において幼児でも楽しめるような工夫や機能を導入した。ロボット本体の高性能化とも相まって,操作感のよい新しい操作体験システムを構築することができた。 H30年度は,まず上記のハードウェア的課題に対応し,レンズ交換できる高解像度の工業用カメラの利用が可能なシステムへと改良を行った。サッカーシステムに使用してきたカメラの映像ソフトはLinux(Ubuntu)OS上で動作しているが,USB3.0カメラは対応していないことが多い。WindowsやArch,Fedoraなど異なるOS上でなら機能する製品が少なくない。さまざまな対応を試みた結果,UbuntuOS上での動作確認に成功した。その上で,本研究の主目的である,人工知能と人間との対戦を実現させる機能の導入を目指した。従来,「守る」,「攻める」ボタンの導入,互いのロボットがぶつからないように,制限エリアを設定するなど配慮してきたが,人間対人間のシステムに特化していたこともあり,拡張性に難があった。そこで本年度は対戦相手を人間,AI,調整用の三つから選択できるようにし,AIのシュート精度や防御精度を変更,設定できるようにした。体験する対象の年齢層にレベルを合わせる仕様としたことで出前授業では好評を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハードウェア的に,LinuxOS上で動作する画像処理システムと合わせて,同OS上でUSB3.0カメラ(ズームレンズ付高解像度カメラ)を利用できるようになった。昨年までは,レンズ交換のできない安価なUSBカメラしか対応できなかったため,3m以上の高さへの取り付けが必要で,設営時の安全面に懸念があった。しかし,上記カメラの導入により,2m以下の高さでも十分にフィールド全体が映せるようになり,ノートPC1台,ロボット数台,カメラ等のコンパクトな荷物で運用できる極めて快適なシステムを構築できた。 ソフトウェア的には主目的である,AI対人間の対戦型サッカーシステムの完成度も高まり,実際の出前授業で運用するまでになった。H30年度は以下の街や会場で,計6回の出前授業を行った。操縦体験者からのアンケート結果では高い評価や激励を頂いているが,得られた指摘事項を踏まえ,改良していく予定である。 ・とよた科学体験館(豊田市),・第11回「おもしろ科学教室」(名古屋大学),・春日井市立鳥居松小学校(愛知県),・とよたものづくりフェスタ2018(わくわくワールド)(豊田市),・第10回よっていきん祭(豊田市),・H30年度豊橋技術科学大学オープンキャンパス(豊橋市)
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究の進捗ほぼ順調である。令和元年度は対戦システムのAIの精度向上や対戦人数の増員等,実際の出前授業で得られたアンケート結果に対応するための取り組みを行う。 H30年度,AI対人間の対戦システムを実際の出前授業で使用した結果,大人には自律移動するロボットの性能に驚かれ,興味を持ってもらえたと感じた。同様に,子供たちもコントローラで操作するよりも,「自動でボールに近づいて,ゴールに向けてシュートを放つ」ボタン一つの操作の方が,簡単かつ正確にシュートできるという事実を体験してもらえたと考えている。一方,出前授業でのAIによるロボットの制御はロボカップ競技で使用する手法とパラメータを流用しているが,その精度は十分とは言えない。ロボカップ世界大会で我々の成績は20チームの中位であり,制御性能には改良の余地が多い。今後も継続的に大会に参加し,試合での動作状況や他チームとの交流を通して,性能向上を図る必要がある。特に出前授業用フィールドは小さいので,小回りや急加速,急制動に関する性能は重要である。必要となれば,ハードウェアの機能追加や変更を含めた,大幅な改良を検討する。
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Causes of Carryover |
数万円ほど残金が生じたが,ほぼ計画通りの予算執行と考えている。消耗品材料費の見積額と実費との差額であり,次年度分と合わせて物品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)