2018 Fiscal Year Research-status Report
未来のガリレオ育成のための天文教育-食連星の観測と光度曲線解析-
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17K01002
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
佐々井 祐二 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (40235239)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 天体観測 / 食連星 / ケプラー方程式 / 地域貢献 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:世界天文年2009 から行っている小中学生対象の公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については、第1回6/1(金)19:45~21:15「口径35cm望遠鏡で金星と木星を見よう」、第2回7/20(金)18:30~21:00「夏休みスペシャル 手作り望遠鏡で月を見よう」、第3回10/12(金)18:30~20:00「口径35cm望遠鏡で土星と火星を見よう」、第4回12/1(水)13:30~15:30「分光器を作ろう、太陽望遠鏡をのぞいてみよう」を開催した。保護者等も参加することと、なるべく多くの天体を見てもらうため受講生定員は1回当たり20名としていた。計4回の講座の受講生は86名、保護者等も含む参加者は約179名であった。講座の肯定的な評価が90%、普通の評価が8%、否定的な評価が2%であった。 高専生に対する未来のガリレオ育成活動:上記天体観測会に対し、本校2年チャレンジゼミナール基礎および3年全系横断演習Ⅰ学生10名には補助学生として、望遠鏡操作や「手作り望遠鏡」「簡易分光器」作成指導などで主体的に参加してもらった。また、ケプラー方程式による惑星軌道シミュレータ作成について試行的な指導を行った。 食連星の観測と光度曲線解析:7月31日に火星の大接近があったので、今年度はケプラー方程式を用いる惑星の軌道計算に取り組んだ。ケプラーの第2法則によると、惑星が一定時間に掃引きする軌道面の面積は常に一定である。これを離心近点角と時間の関係として表現するものがケプラー方程式である。惑星軌道の計算方法をまとめ、具体例として、地球と火星の軌道シミュレータを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については予定通り開催し、概ね好評であった。地域の小中学生に天文教育を行うという意味で、完全に達成できたと考える。 高専生に対する未来のガリレオ育成活動:上記天体観測会に対し本校2年チャレンジゼミナール基礎および3年全系横断演習Ⅰ学生10名が補助学生を務め「教えることで教えられる」相互教育を実施した。また、ケプラー方程式による惑星軌道シミュレータ作成について試行的な指導を行った。 食連星の観測と光度曲線解析:今年度はケプラー方程式を用いる惑星の軌道計算に取り組んだ。 装置の整備とその活用が遅れているので「やや遅れている」とした。令和元年度に整備の上、その活用に注力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
未来のガリレオ育成活動:津山地域の小中学生には天文への興味付けと観測体験のため、天体観測会を継続する。高専のチャレンジゼミナール生には天体観測会補助学生の他に天体写真撮影を重視する天文教育を継続する。また、ケプラー方程式の理論的理解の推進を図る。 科学的活動:科学的成果を挙げられるよう、高専生と共に食連星についてWD計算コードやPHOEBEにより光度曲線解析を行い、対象連星系の物理パラメータや特徴を研究する。ケプラー方程式についても取り組みを継続する。天体観測室の口径35cm望遠鏡について、GPSの2019年4月7日問題に対応するため、ファームウェアをアップデートする。気象観測装置が利用できなくなっているので、更新等の対策を始める。また、素粒子論、特に量子色力学のシミュレーションプログラムLTKf90を用いた高専生に対する物理シミュレーション教育の検討を行う。
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Causes of Carryover |
理由:学科改組進行中の校務に非常な時間を取られ、装置の整備とその活用が遅れた。今年度は本事業に注力したい。
使用計画:繰越分と今年度交付額(直接経費)を合計した236万円に対し、望遠鏡制御用PC・計算用PC・冷却CCDカメラ・分光器・工作用3Dプリンタ・気象観測装置などの機材に約170万円、国内出張旅費約25万円、公開講座補助学生等謝金約11万円、観測室制御系改良工作用パーツ等消耗品に約30万円の早急な使用を予定している。
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