2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術に関する科学リテラシーの構築~問題解決型学修を通して~
Project/Area Number |
17K01010
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
冨永 陽子 岩手大学, 教育推進機構, 准教授 (70775361)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 科学リテラシー / ゲノム編集 / 遺伝子組換え / 問題解決型学修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、授業・アンケート調査・インタビュー調査を通じて、大学生の「ゲノム編集技術」についての科学リテラシーに関する調査および理解の向上度合いの評価を行い、その結果をもとに、より効率的に科学リテラシー教育を行うためのシステムを構築することを目的としている。同時に、遺伝子組換えおよびゲノム編集技術に関する問題解決型学修を行うことによって、社会に向けたコミュニケーションの手法を深化させることを目指すものである。 本年度は、ゲノム編集技術に関連した生命科学の用語と内容の理解度および科学リテラシーについて、初年次の大学生を主な対象とした調査およびランダムに選択された大学生を対象とした調査を行い、データの収集および学生の生物学的知識の背景と関連付けた分析を行った。生命科学に関する用語の理解は、生物系の学生においても正確ではない事例がみられるとともに、高年次の学生においても全体的に理解度が低い傾向にある用語が明らかとなっており、科学リテラシーを涵養するための基礎的な課題が具体化された。 また、授業において、研究者向けプロトコールにしたがった研究計画の作成と、実験の様子を観察することによる研究の疑似体験を行った。それらの経験をもとにした問題解決型学修を通じて、遺伝子組換え技術およびゲノム編集技術に関する科学リテラシーの構築について議論するとともに、学修した理論の理解をすすめるためのグループワーク形式の討論と、社会に向けたコミュニケーションの手法について検討した。その結果、科学リテラシーの構築における学生の視点からの課題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画に沿って、ゲノム編集技術について理解するために必要となる事項について、データを収集し、生命科学に関する認識と理解度についての実態の把握、データベースの作成および分析を行った。前年度に収集したデータに加え、大学入学時と後期のデータを収集することができたことから、科学リテラシーの発達を比較することが可能となった。また、問題解決型学修の科目における学生の議論をもとに、遺伝子組換え技術およびゲノム編集技術に関する科学リテラシーの構築についての課題を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、授業を通して大学生がその時点でもつ科学リテラシーとその発達の度合に関するデータ収集を継続し、生物学的知識の背景と関連付けて分析する。前年度の調査および問題解決型学修に参加した学生から得られた学生側の視点をフィードバックすることにより、効果的な科学リテラシー教育の検討を継続して行い、教育効果について検証する。
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Causes of Carryover |
実験・データ解析の補助を行う研究補助員について、当該年度は当初予定の作業従事時間よりも少ない労働時間しか確保することができなかったため、次年度の謝金として使用する。物品費、旅費、人件費・謝金については、今後の研究の推進方策に記載した実施内容にしたがって使用する。
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