2017 Fiscal Year Research-status Report
放置竹林を活用した循環型環境教育プログラムの開発と実践
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17K01013
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
西城 潔 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (00241513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安孫子 啓 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10282146)
亀井 文 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (90310846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 竹林 / 環境教育 / 炭焼き / 食 / 工作 |
Outline of Annual Research Achievements |
放置竹林を題材とした循環型環境教育プログラムの開発という目的のもと、平成29年度には、1)竹の利用法のデータベース化、2)環境教育プログラムの試作版作成の2つを目標を掲げて研究活動を行った。 まず目標1)については、結果的には、当初意図していたようなデータベースの作成には至らなかった。国内外の竹利用事例が膨大な数に上ること、膨大な事例に関するデータベースを作成したとしても、それが小中学校で利用可能な環境教育プログラムの開発に直結しない可能性が高いと判断されたことが、その主な理由である。そこで年度途中から方針を変更し、宮城県内および周辺地域での事例で、かつ学校教育への展開の可能性が高い竹利用に限定して資料収集を行うことにした。具体的には、水産業(牡蠣養殖)における竹筏の利用(西城)、竹素材の調理への利用(亀井)、竹の加工材としての特性把握および工作(安孫子)である(カッコ内は主たる担当者)。 こうして集めた竹利用事例をもとに、2)の目標に関わって、教材化の前提となる基礎データの収集や試行実験、試行プログラム作成も行った。とくに牡蠣養殖筏に由来する廃材活用のために、研究協力者・井上の指導も受けつつ、簡易炭焼き法の開発、廃材燃焼時のダイオキシン類発生の有無について検討を進めた。その結果、学校教育でも十分実施可能で、かつ比較的良質な炭を焼くことのできる簡易炭焼き法を開発することができた。また竹筏由来の廃材を燃焼した際のダイオキシン類発生については、実験の結果、ダイオキシンの発生はほとんど認められないことが確認された。また竹素材の調理への利用、竹の加工材としての特性把握および工作について、複数回の試行実験を経て、プログラム試案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」に述べた理由から、当初計画していた竹利用に関するデータベース作成には至っていない。しかし、これは全体の研究目的に照らしてその方が妥当と判断したためであり、進捗状況の遅れとは捉えていない。データベース作成に替わり、教育展開の可能性が高い宮城県内の竹利用事例について調査を進めている。具体的には、「牡蠣養殖筏から発生する廃材を活用した炭焼き」、「竹素材の調理への利用」、「竹の加工材としての特性把握および工作」に関する資料収集や試行実験を行った。その結果をふまえた試行プログラムの作成は、「竹素材の調理への利用」と「竹の加工材としての特性把握および工作」についてはほぼ終了したが、「牡蠣養殖筏から発生する廃材を活用した炭焼き」については、教材化の前提となる基礎実験に予想以上の時間・予算を要したことから、試行プログラム作成にはまだ至っていない。以上が、現状を(3)と判断した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、前年度に作成した試作プログラムをもとに、大学での授業その他の機会を利用した授業実践を行い、「竹利用環境教育プログラム」の完成版を作成する予定である。「竹素材の調理への利用」については、竹炭焼きと組み合わせた余熱利用の蒸し料理(とくにプリン)制作を中心に、既に試作プログラムが完成しつつある。このプログラムについては、大学の授業および宮城教育大学公開講座において実践を行う予定である。また「竹工作」については、宮城県立支援学校小牛田高等学園において実践授業と指導案作成を行うことが確定している。また開発題材考案のため、民間団体の主催する竹細工教室への参加による情報収集も行う予定である。試作プログラムの完成に至っていない「牡蠣養殖筏から発生する廃材を利用した炭焼き」については、年度当初の6月までに試作プログラムを完成させる。この試作プログラムを大学の授業において実践するとともに、東松島市周辺の小学校において試行的授業実践を実施したい。また前年度に新たに開発した炭焼き法については、宮城教育大学公開講座において実践を行う予定である。 このように各テーマによる試行プログラムの実践をふまえ、必要な改良を加えて、年度末には「竹利用環境教育プログラム」の完成版を作成する。
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Causes of Carryover |
竹素材の食器・食品への利用に関して、当初見込みよりも物品費・人件費を要しなかったことと、竹利用の安全性確認のための実験(放射能検査等)を新たに行うことがあり得るため、H30年度分としてその分の予算を確保しておく必要があることが、次年度使用額が生じた理由である。本年度使用計画への変更はない。
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