2017 Fiscal Year Research-status Report
「21世紀型能力」の育成を目指した技術科の主体的な学びを促すカリキュラム開発
Project/Area Number |
17K01029
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
原田 信一 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90646647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 茂樹 広島国際学院大学, 工学部, 教授 (40273817)
岳野 公人 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70313632)
湯地 敏史 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (80418988)
山田 哲也 湊川短期大学, 人間生活学科, 教授 (00727224)
荻窪 光慈 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00431726)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 21世紀型能力 / 技術教育 / 中学校技術科 / 学習意欲 / 自己効力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでの研究成果をベースに「21世紀型能力」に着目し、技術教育を主軸とした中学生と高校生が主体的・能動的に課題解決に取り組む能力の育成を究明し、将来の社会生活に向けた課題解決能力の育成カリキュラムを開発することを目的とする。 理論研究については,21 世紀型能力を育成するため主体的な学びが求められていることについて,技術科教育の立場から,題材の検討や技術科の学習の意義・意味についての概念の整理と交流を行っていく。具体的には開発研究に関しては,合同研究会において主体的・協働的な学習 授業のイメージを理論研究チームと研究実践チームで共有し,技術科教育研究班はそれを承けた授業構成のあり方の検討に着手する。21 世紀型能力の理論面での海外調査として,共同研究の期待できる米国の3大学(NY州立大学、IL州立大学、MN大学)を訪問し、情報収集と打ち合わせを実施した。NY州立大学では、共同研究者と打ち合わせにおいてSTEM教育Standardの分析、カリキュラム開発、教育実践効果の測定を共同で実施することを確認し、次年度に向けた準備を進めることになった。MN大学ではSTEMセンターを訪問し、本事業を推進する際の連携協力体制を構築した。 また,学習の意味・意義(学習レリバンス)を生徒に実感させることについては、大学生の技術科に対する意識の分析を行い、技術科の学習レリバンスについて検討し、新学習指導要領を踏まえた今後の技術科教育の指導について考察した。今回のアンケートによる調査の結果から、大学生の技術科に対する意識や学習レリバンスなどを把握することができた。そして、研究成果について、日本産業技術教育学会近畿支部大会及び国際会議で発表することができた。また、学校教員及び教員養成課程の学生を対象とするワークショップを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は当初の計画どおり、学習の意味・意義(学習レリバンス)を生徒に実感させることについては、大学生の技術科に対する意識の分析を行い、技術科の学習レリバンスについて検討し、新学習指導要領を踏まえた今後の技術科教育の指導について考察した。今後、さらに生徒に技術科の学習の意義・意味について,及び全国の公立中学校,附属中学校の技術科担当教師を対象に,主体的な学びの実施状況等に関する調査を実施する。 また、平成29年度に計画していた,課題解決的なカリキュラムの作成については、①タービンコンテスト、②紫外線測定器の教材開発の授業実践を行った。①の授業では、タービンコンテストをとおして,技術科の主体的・対話的な学びや資質・能力を育む指導法やパフォーマンス評価を行った。また今後,単元計画,指導計画,学習指導案について検討していくとともに,パフォーマンス評価に関するパフォーマンス課題やルーブリック及びワークシートの再検討,事前・事後のアンケートの分析を行い,授業改善をしていく予定である。②の紫外線測定器製作の授業実践では,生徒の関心・意欲・態度及び,知識・理解において,開発した題材の有効性が示唆された。今後は,本題材を活用した授業実践終了時に事後調査を実施し,評価・活用ができるようになったかを検証していく。 学校教員及び教員養成課程の学生を対象とするワークショップを開催した。参加者全員でBS法により「技術科の学習で子どもたちに付けたい力」をあげ、それをKJ法で整理した。そして「子どもにつけさせたい力をどうやって達成していくのか」について、ワークショップでグループ討議を行い、全体会で発表し共有した。参加者も大学院生、学部生、大学教員、京都府・京都市中学校教員などに加えて、京都教育大学を目指している高校生の参加もあり、いろいろな立場での意見交流ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
30 年度は,「学力の3要素」と「資質・能力の3つの柱」との関係,及び「21 世紀型能力(スキル)」の,4 領域10 スキルについて,整理する予定である。30~31 年度にかけて,中学校における授業モデルを作成し,実践・評価する。技術科の授業において「将来、役に立つ」という将来の生活とのつながりを明らかにすることで感じるレリバンスが生徒にとって学習を定着するうえで重要であり、役に立つと感じた時に生徒は主体的に取り組み、かつ学習効果が上がると推察される。そしてそのことが、21世紀型能力の育成に有効であると考えた。本研究は、課題を発見したり、設定したりする場面でレリバンスを実感させて、主体的な学習を促すカリキュラムを開発することを目的とする。 さらに生徒に技術科の学習の意義・意味について,及び全国の公立中学校,附属中学校の技術科担当教師を対象に,主体的な学びの実施状況等に関する調査を実施する。 課題解決的なカリキュラムの作成については、計測・制御における自動運転システムコンテストと評価、及び生物育成の授業実践を行う予定である。また今後,単元計画,指導計画,学習指導案について検討していくとともに,パフォーマンス評価に関するパフォーマンス課題やルーブリック及びワークシートの再検討,事前・事後のアンケートの分析を行い,授業改善をしていく予定である。 今年度も、学校教員及び教員養成課程の学生を対象とするワークショップを開催する。 また、研究は当初計画どおりに進まない事態に備えて,2年目:開発・実践,3年目:実践・評価と,重心をずらしながら段階を重ね合わせる形で進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究協力者との連絡は、メールや電話を中心に行い、共通に加入している学会など利用して連携を行ったため、旅費が生じなかった。 使用計画として、平成30年度は、引き続き学校現場における教材開発に使用する教材や工具等を購入する予定である。さらに研究成果を発表するため、学会等に参加する。
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Research Products
(28 results)