2018 Fiscal Year Research-status Report
「21世紀型能力」の育成を目指した技術科の主体的な学びを促すカリキュラム開発
Project/Area Number |
17K01029
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
原田 信一 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90646647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 茂樹 広島国際学院大学, 工学部, 教授 (40273817)
岳野 公人 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70313632)
湯地 敏史 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (80418988)
山田 哲也 湊川短期大学, その他部局等, 教授 (00727224)
荻窪 光慈 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00431726)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 21世紀型能力 / 技術教育 / 技術科 / 資質・能力 / 教材開発 / 授業実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでの研究成果をベースに「21世紀型能力」に着目し、技術科教育を主軸とした中学生と高校生が主体的・能動的に課題解決に取り組む能力の育成を究明し、将来の社会生活に向けた課題解決能力の育成カリキュラムを開発することを目的とする。 理論研究については、21世紀型能力を育成するための主体的な学びが求められていることについて、探究学習に取り組んでいる先進校視察や文献研究を行った。また、課題解決能力の育成カリキュラムを開発するための題材開発、授業実践を行った。さらに、開発研究に関しては、合同研究会において主体的・協働的な学習、授業のイメージを理論研究チームと研究実践チームで共有し、技術科教育研究班はそれを承けた授業構成のあり方の検討を行った。 中学校における授業モデルの作成、実践・評価として、まず小学校図画工作科において、中学校技術・家庭科技術分野との連携を進めることを目的とし、技術的なのこぎり指導を加えた教材の授業実践を行い、それによる児童の工具への意識・技能の向上を調査し,検証した。児童にのこぎりの扱い方に慣れさせるとともに、児童にものづくりに対する喜びや達成感、学習の意義を感じさせることをねらいとした。また、技術科の内容A_材料と加工の技術の構造についてブリッジコンテスト、及び内容D_情報として、計測・制御における自動運転システムコンテストをとおして、パフォーマンス評価とルーブリックの活用についての授業実践を行った。さらに、内容C_エネルギー変換の技術から「LEDを活用した製品の評価・活用」を取り上げて問題解決ができるような授業実践を行い、対話的な活動や問題解決へ向かう課程を体験させることができた。そして、研究成果について、日本産業技術教育学会近畿支部大会及び国際会議で発表することができた。また、学校教員及び教員養成課程の学生を対象とするワークショップを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度はほぼ当初の予定どおり、教材開発、授業実践を行うことができた。また今年度、課題解決的なカリキュラム作成については、①ブリッジコンテスト、②タービンコンテスト、③計測・制御における自動運転システムコンテストを行った。これらのコンテストをとおして、技術科の主体的・対話的な学びや資質・能力を育む指導法やパフォーマンス評価とルーブリックの活用についての授業実践を行った。そして、学んだことを活かしてパフォーマンス課題に取り組む中で,生徒が構造やエネルギー変換、制御に対する考え方の変容が見られた。今後、単元計画、指導計画、学習指導案についてさらに検討していくとともに、パフォーマンス評価に関するパフォーマンス課題やルーブリック及びワークシートの検討、事前・事後のアンケートの分析を継続的に行った。そして、どの学校でも実施可能な簡易なパフォーマンス評価の作成をめざす予定である。さらに、小学校図画工作科において、中学校技術・家庭科技術分野との連携を進めることを目的とし、技術的なのこぎり指導を加えた教材の授業実践を行った。 学校教員及び教員養成課程の学生を対象とするワークショップを開催した。ワークショップでは、教員養成課程の学生が考案した製作題材について、参加者全員で意見交流を行い、相互に助言していった。参加者も大学院生、学部生、大学教員、京都府・京都市の中学校教員、附属中学校教員などに加えて、京都教育大学産業技術科学科を目指している高校生の参加もあり、いろいろな立場での意見交流ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度は、昨年度に引き続き、中学校における授業モデルを作成し、実践・評価する。技術科の授業(小学校のものづくりも含む)において、「将来、役に立つ」という将来の生活とのつながりを明らかにすることで感じるレリバンスが、生徒にとって学習を定着するうえで重要であり、役に立つと感じた時に生徒は主体的に取り組み、かつ学習効果が上がると推察される。そしてそのことが、21世紀型能力の育成に有効であると考える。今後、さらに生徒に技術科の学習の意義・意味について、及び全国の公立中学校、附属中学校の技術科担当教師を対象に、主体的な学びの実施状況等に関する調査を実施する。 これまでの研究では、ブリッジコンテスト、タービンコンテスト、計測・制御の基本的な学習を行い,学んだことを活かしてパフォーマンス課題に取り組む中で,生徒が制御に対する考え方の変容が見られた。今後,思考力・表現力を育成するパフォーマンス課題と評価の改善とルーブリックの精度をより高めていく必要性がある。そして、どの学校でも実施可能な簡易なパフォーマンス評価の作成をめざす予定である。 そしてこれまでの研究成果をもとに、学校教員及び教員養成課程の学生を対象とするワークショップを開催し、「21世紀型能力」の育成を目指した技術科の主体的な学びを促し、対話的で深い学びにつながるカリキュラム開発について大学院生、学部生、大学教員、京都府・京都市の中学校教員、附属中学校教員などに加えて、京都教育大学産業技術科学科を目指している高校生の参加によりいろいろな立場での意見交流を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究協力者との連絡は、メールや電話を中心に行い、共通に加入している学会など利用して連携を行ったため、旅費が生じなかった。使用計画として、平成30年度は、引き続き学校現場における教材開発に使用する教材や工具等を購入する予定である。さらに研究成果を発表するため、学会等に参加する。
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Research Products
(45 results)
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[Book] 技術科教育概論2018
Author(s)
原田信一,ほか (共著)
Total Pages
280
Publisher
九州大学出版会
ISBN
978-4-7985-0233-5