2017 Fiscal Year Research-status Report
ESDが目指す価値観形成のためのものづくり教育プラットホームの創出
Project/Area Number |
17K01035
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
大内 毅 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40346838)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 組立 / 分解 / 接合 / 2段錐 |
Outline of Annual Research Achievements |
組立・分解を可能とする各種接合における最適接合条件を明らかにする目的から、ボルト接合を施した引抜試験体を作製し、万能試験機を用いて引抜試験を実施した。本研究でのボルト接合とは、六角レンチで容易に接合できる六角穴付きのキャップボルト(M型)による接合であり、試験条件は、ボルト直径、下穴径、埋め込み深さ、本数とし、コントロールとして釘接合を施した試験体も供試して、比較検討した。得られた結果から、M4のキャップボルトが最適サイズであり、下穴径3.0、3.2mmの場合、繰り返し10回までの接合あれば、接合性能を維持できることが明らかとなった。また、キャップボルト接合における下穴加工は、接合する部材にボルト頭部穴加工とボルト穴加工、母材にボルト穴加工と3つの加工で構成される。これらの下穴加工は、一般的にボール盤を用いて行うが、学校教育現場の設備では、この作業が台数の関係で困難となるため、組立・分解を意図した接合を普及させるために、3の下穴加工を同時に、しかも手動で行うことができる手工具の開発を行った。その結果、1段目を直径3mm、2段目を直径8mmとする2段錐の専用工具を開発した。すなわち、一段目は直径3mmで、先端が案内ねじを有しており、手加工でも容易に材料に進入することができるようになっている。二段目は直径8mmで、キャップボルト頭部の下穴を加工することができる。この開発した2段錐を用いて下穴加工を行う際に必要となる回転力(トルク)と、押さえる力(スラスト)を、工具動力計を用いて下穴加工中に測定し、性能評価を行った。その結果、最大トルクが1N・m、最大スラストが15Nと比較的小さい値であったことから、中学生でも容易に加工できることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたように、組立・分解を意図した教材の接合法の最適接合条件を明らかにした。また、その接合に必要となる専用工具(2段錐)を開発し、性能評価を行った結果、中学生にも容易に加工できることを示唆していることから、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発した2段錐を用いて、組立・分解を意図したものづくり教材を考案開発(例えば、ブックシェルフ、スツール、椅子など)する。接合条件として、接合箇所をなるべく少なくし、さらに、接合強度が低い木口面よりも高い木端面接合を多く取り入れることを考慮してものづくり教材を考案・開発する。そして、このものづくり教材を用いた学習プログラムを開発し、実際に小学校図画・工作科や中学校技術・家庭科の授業で実践する。また、教育委員会と連携して実施する教員研修の場から教材に対する意見を聴取し、問題点・改善点を明らかにして繰り返し改良を加える。これらの成果を基にして、実践の中で生じる課題を解決しながら、ものづくり教育プラットホームの有効性について検証する。
|
Causes of Carryover |
設備備品として購入した工具動力計がモデルチェンジしており、それによって見積時の定価より安価となったため、差額が生じた。翌年度は、ものづくり教材を製作するために必要となる材料費に充てる計画である。
|
Research Products
(1 results)