2018 Fiscal Year Research-status Report
固有の自然共生課題を有する自治体における関心誘起を企図した環境教育の在り方
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17K01046
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
高橋 正弘 大正大学, 人間学部, 教授 (10360786)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境教育 / 自治体 / 自然共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の2年度目となる2018年度は、初年度に引き続き、自治体に特有な環境課題とそれに関連した環境教育の実際の在り方に関して訪問・聴き取り調査・アンケート調査等を行った。具体的には、「自然共生」課題への取り組みが開始されている自治体を取り上げて、集中的な調査を行うことができた。具体的には、新潟県佐渡市では、住民1000人を対象としたアンケート調査も実施した。アンケート調査の結果は急ぎデータのみ整理し、再度佐渡市において現地の複数の関係者へフィードバックを行い、内容の分析をすすめた。長崎県対馬市では、ツシマヤマネコの交通事故対策に係る意識啓発に注目し、9月にアクションリサーチおよび12月に現地関係者へのフィードバックを行った。沖縄県与那国町では、5月と3月の2回、それぞれ短時間となるが現場調査を行った。千葉県野田市には、自然再生を事業として進めている江川地区を5回訪問し、現場での活動についての調査した。また海外事例として、ベトナム・ハノイ市で、ごく予備的な調査を行った。学術的な関連情報の収集作業を並行して行い、日本環境教育学会と野生生物と社会学会の年次大会に参加した。これらの調査と情報収集を通じて、自然共生の課題が十分浸透している自治体と、自然共生課題が浸透しつつある自治体とでの差異の比較を検討することができる材料を集めることができた。重要となってくるのは当該自治体が有している環境課題の改善・解決に住民の協力がどの程度必要かということが住民に理解されているかどうかであると、現時点で考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の調査については2年度目に行い切れず、最終年度に持ち越したため、予算の一部もあわせて最終年度に繰り越すことになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究機関の最終年度となる3年度目は、これまで未調査もしくは十分なデータが集められていない自治体を訪問し、引き続き自治体に特有な環境課題とそれに関連した環境教育の実際の在り方に関して訪問・聴き取り調査を行う。「自然共生」が今後数年以内に自治体特有の課題となる顕在性を有する自治体の調査については、1~2の自治体を取り上げて実施する。また初年度・二年度目の調査に加えて、特に追加的な情報が得られそうな自治体についても調査を行う。海外事例についてはアジア地域のひとつの自治体調査の計画を行う。 一定程度調査が進展し、収集した質的データの量が増えてきており、2019年度はそれらのデータの分析を行っていく。いくつかの手法を駆使して、質的データを視覚で把握することが可能な程度まで構造化を図ることとする。そして調査データから、経験と教訓を抽出し、自治体レベルで環境教育の関心を想起するための実践の工夫、制度化の方向性など、他の自治体が環境教育を企図する際に有用な情報としてまとめ、論文や学会発表等の形式によって発表していく。また「第10回環境教育国際会議(開催国タイ)」に参加し、研究期間中の成果について発表する。
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Causes of Carryover |
2年度目までに実施できなかった調査が最終年度に持ち越しとなってしまっているので、これらを実施するための旅費調査費として、計上し使用していきたい。
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Research Products
(2 results)