2017 Fiscal Year Research-status Report
就学前・初等・中等教育を視野に入れた生物多様性保全についての普及教育に関する研究
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17K01048
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
加藤 美由紀 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (70706829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉本 宣 明治大学, 農学部, 専任教授 (60287886)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生物多様性保全 / 小学校 / 植物図鑑 / 教科書 / 中学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
小・中学校での生物多様性保全に関する学習内容は、外来種に対する問題意識を啓発しているものの、充分ではないのが現状である。このことを踏まえて、未就学児から初等・中等教育への接続性を意識した生物多様性保全教育を提案することを目的として研究を開始した。初年度である平成29年度は、小学校・中学校の実態調査と就学前の子どもたちに対する生物多様性保全に関するパンフレット作成、小学生の生きもの調査の教材開発を行った。 小学校理科教科書における生物多様性とその保全に関する保全リテラシーガイドラインとの対応を行い、生物多様性保全に関する小学校と中学校の系統性を意識した学習内容を整理し、日本理科教育学会全国大会で報告した。 小学校と中学校の教科書分析結果を基に、多摩川近郊の小学校と中学校で行われている生物多様性保全に関する授業の実施の有無、授業内容についてアンケート調査を行い、10校から回答を得た。また、小中学校の生物多様性の認識を目的とした教材研究に関する基礎研究として、大学構内で季節を通した植生調査を行った。これを基にして、小学校の教材として、校内の植物図鑑を活用した生物多様性の教材を検討し、『人間研究』54巻に掲載した。また、生物多様性保全に関するパンフレットを作成し配布するとともに、児童館で小学生クラブの児童を対象に生物多様性保全に関する紙芝居を行い、意識調査を行った。中学校の教材開発に関連して、校内の雑草調査における植物の量的な理解のために、多摩川河川敷に生育するハルシャギクについて、異なるハビタットにおけるサイズ、密度、個体の分布を比較した。また、動物園における生物多様性教育を池のかいぼりと関連させて実践し効果測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画として、小学校・中学校の実態調査と就学前の子どもたちに対する生物多様性保全に関するパンフレット作成、小学生の生きもの調査の教材開発を行うことを計画した。まず、1番目の小学校・中学校の実態調査のうち、生物多様性保全に関する理科教科書の記載内容の調査については、既に行っている中学校の理科教科書の調査に加えて、小学校理科教科書の調査を行ったが、実際の授業内容の調査については、多摩川流域の小学校42校、中学校10校に、生物多様性保全の授業内容についてのアンケートを送付したが、小学校10校からの回答に止まった。また、目的の2番目に記載した、生物多様性保全についての子ども向けのパンフレットを作成し、パンフレットを基にした紙芝居を児童館1か所で行った。小中学校の生物多様性保全に関する授業内容をインタビューをお願いする教師や、パンフレット及び紙芝居を読み聞かせをする機会を提供してくれる児童館等を引き続き、依頼することを検討している。3番目の目的に記載した、小学校の生物多様性保全に関する教材作成については、大学構内の植生調査を基に、小学校4年に学習する「季節と生物」の教材として、季節ごとの校内の雑草について、作製した植物図鑑の活用方法を『人間研究』54巻に掲載している。また、中学校の教材開発に関連して、校内の雑草調査における植物の量的な理解のために、多摩川河川敷に生育するハルシャギクについて、異なるハビタットにおけるサイズ、密度、個体の分布を比較しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画として、平成29年度に得られた結果を基にして、就学前・小学校・中学校の生物多様性保全に関する教材開発と普及を行う。小学校理科学習指導要領には生物多様性保全に関する学習内容が見られないため、生物多様性保全に関する学習を行っている小学校が少ないことも考えられる。また、学校全体の授業計画の中で生物多様性保全に関する授業分析に協力が得られない場合は、環境教育に熱心な教師に協力を要請し、生態分野の授業分析を行うこととする。 動物とは異なる植物的な生命像の理解に基づいて、植物の量的な理解を図るために、方形区を用いた一年草と多年草の調査を行う。応用として、学校周囲の法面の植生調査を行う。中学校の生徒に対する生物多様性の普及活動に、地形と植生の対応を加えてプログラムを作成し実践する。中学校の教材開発については、上述の植生調査を基に、環境条件等を設定して「方形枠による植物分布の調査」の実習を考案する。開発した教材について、実習を行う前後の中学生の意識調査を行い、従来、日本では、高等学校生物の実習である「方形枠による植物分布の調査」の、中学校の学習内容としての妥当性を検討する。 また、オーストラリアの中学校の理科教師に対するインタビューを行い、方形枠による植物分布調査の実施の有無や生態系及び生物多様性保全についての授業内容を分析し、日本の中学校での生物多様性保全の授業内容に付加できるものを検討する。 小学校の教材開発については、タブレットを用いて身近な生きもの調査実習を行うことを計画していたが、平成29年度に作成した、植物図鑑を用いた種の多様性や外来種の認識についての効果を、平成30年度に検証する。就学前の子どもたちへの生物多様性保全に関する普及活動については、平成29年度のパンフレットや紙芝居の内容を用いて、子どもたちへの生物多様性保全教育を継続することを計画している。
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Causes of Carryover |
H29年度は、物品費とその他の経費が予定より若干多い額となった一方で、学会等の旅費と人件費が予定より少ない額となった。物品費については、初年度のため、植生調査及び教材作成について、調査器具等揃える必要があったからである。その他の経費については、パンフレット作成費用に加えて、就学前・初等・中等教育を視野に入れた普及教育であるため、広範囲に資料を収集したことから、文献等のコピー代も予定より多い額となった。H30年度と合わせた使用計画について、当初との変更点は、H29年度に作成し児童館で配布した子ども向けのパンフレットを、意識調査を行った結果を踏まえて、H30年度にもパンフレットや紙芝居、教材を作成する方向で考えていることである。H29年度末の助成金については、このパンフレットを作成する費用に加算することを考えている。それ以外の費目については、物品費は、植生調査の実施にかかる物品、中学校の教材作成にかかる物品等に充てる。H30年度は、小中学校の生物多様性保全に関連する教材を調べるため、オーストラリアでの調査を予定しており、旅費に計上している。人件費は、植生調査補助や、紙芝居等のアクティビティ補助、意識調査のデータ入力等、その他の経費については、子ども向けのパンフレットの作成に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)