2017 Fiscal Year Research-status Report
生活環境圏におけるCO2濃度の動態把握に基づく探究的な環境学習活動の教材開発
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17K01051
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 雅一 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (60340387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 敬三 名古屋産業大学, 環境情報学部, 准教授 (50329900)
岡村 聖 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (80314087)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生活環境圏 / CO2濃度 / 地域環境 / 探究学習 / 学習支援 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生活環境圏におけるCO2濃度の動態把握に基づく探究的な環境学習活動の教材開発を目的とする。本研究は、気象や人為の影響を受けて複雑かつ多様に変化する生活環境圏のCO2濃度に着目し、1)CO2濃度の動態を把握するための学習支援システムの開発と、このシステムを活用して2)CO2濃度データを利用した探究的な環境学習活動の継続的実施を支援するための教材開発によって構成される。 1)の学習支援システムの開発については、まず東海3県及び台湾苗栗県に開設したCO2濃度測定局(8局)を対象に、測定局のCO2濃度常時測定データと近傍の気象台の風向・風速データを統合した「CO2濃度データベース」を整備した。また、測定局で収集される膨大なデータを生徒が容易に処理できるよう、学習支援システムとして、測定局の過去データを用いて、特定の気象条件下におけるCO2濃度の日変化パターンを参照できる「CO2濃度データ検索システム」を開発済である。これに加えて、風向・風速の発生状況を考慮したCO2濃度の分布パターンについても分析できるよう「3次元CO2濃度分布図作成システム」を新たに開発した。さらに、上述の2つのシステムを教室内はもとより、屋外での学習活動でも活用できるよう「CO2濃度データ閲覧システ ム」を開発した。 また、2)CO2濃度の動態把握に基づく探究的な環境学習活動の継続的実施を支援するための教材開発に向けては、日本と台湾の環境教育モデル校として、三重県立久居農林高校、台湾苗栗県の大同高校の2校を選定し、学校教員向けの指導資料として「学校周辺のCO2濃度調査に基づく環境教育実践マニュアル(日本語版及び中国語版)」を作成するとともに、大同高校の生徒を対象に研究授業を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度となる平成29年度は、生活環境圏におけるCO2濃度の動態把握と目的に開発した学習支援システムの改善、充実を図り、CO2濃度測定局で収集された実測データの情報処理を支援する学習環境を整えることに主眼を置いた。 その成果として、新たに開発した「CO2濃度データ閲覧システム」にWEB接続することで、「CO2濃度データ検索システム」、「3次元CO2濃度分布図作成システム」、以上の2つの学習支援システムを、タブレット端末を用いて、教室内だけでなく、屋外の学習活動でも活用できる学習環境を整えた。特に「3次元CO2濃度分布図作成システム」は、測定局の定点データを用いて、風向・風速の発生状況を考慮したCO2濃度分布を視覚化することにより、CO2濃度と気象や土地利用との関係性の探究をし易くしたものである。その際、生活環境圏におけるCO2濃度の動態に関する既往の研究成果を関連する学協会に論文投稿するなど、科学的知見の蓄積に取り組んだ。 また、CO2濃度の動態把握に基づく学習プログラム、学習教材、学習指導計画、学習到達度の評価方法を「学校周辺のCO2濃度調査に基づく環境教育実践マニュアル(日本語版及び中国語版)」として整理し、環境教育モデル校の担当教員に提示するとともに、台湾苗栗県の大同高校では研究授業を実施した。なお、環境教育モデル校としては、当初計画どおり三重県立久居農林高等学校、台湾苗栗県の大同高等学校の2校を設定したが、高田中・高等学校(三重県津市)、国立基隆高等学校(台湾基隆市)でも同様の学習活動に着手している。 以上から、平成29年度は、環境教育モデル校での探究的な環境学習活動の実施とその支援に向けた条件整備に取り組んだが、概ね計画どおり推進することができたと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
環境教育モデル校のうち、台湾苗栗県の大同高等学校では、研究授業を経て、平成30年3月から探究的な環境学習活動がスタートしている。また、久居農林高等学校でも平成30年度実施で合意している。なお、高田中・高等学校(三重県津市)、国立基隆高等学校(台湾基隆市)については、平成30年度の取組状況を踏まえ、環境教育モデル校としての追加を検討することとしている。 このため、平成30年度は、環境教育モデル校において、CO2濃度の動態把握に基づく探究的な環境学習活動を継続的に支援し、CO2濃度の動態に対する科学的理解と探究的な学習能力の育成に取り組むとともに、その学習到達度を評価する。 また、平成31年度には、モデル校間の国際交流学習を企画し、互いの学習成果を発表し意見交換を行う機会を設けることで、CO2濃度の動態に対する多面的理解とCO2削減に向けた国際協調を下支えする環境意識の醸成に取り組むとともに、その学習到達度を評価する。 以上から、環境教育モデル校における教育実践を通じて、環境教育実践マニュアルの改善、充実を図りながら、CO2濃度の動態把握に基づく探究的な環境学習活動の教材開発を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)