2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a bio-literacy teaching material for environmental education
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17K01053
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
尾山 廣 摂南大学, 理工学部, 教授 (50221700)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 熱帯植物 / 種子 / タンパク質 / 耐熱性 / 塩基性 / 人工汚染水 / 浄水メカニズム / 環境教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度では、これまでの研究成果を踏まえて、モリンガ種子に含まれる水質浄化に関わるタンパク質をテーマに、基礎および応用レベルの実験メニューを精査し、環境教育用の教材を開発した。基礎レベルでは、人工汚染水(陶芸用粘土、食用色素、硫酸銅、大腸菌JM109株)をモリンガ種子の脱脂粉末で浄化できることを実証した。この実験系は、小・中学生に適応できる。応用レベルでは、脱脂粉末の抽出液を用いて、プロテアーゼ処理、加熱処理、pH処理後の浄化テストを通じて、水質浄化に関わる物質がタンパク質(耐熱性・塩基性)であることを確かめた。さらに、陽イオン交換樹脂による浄化タンパク質の精製と活性画分のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果から、2つのサブユニットからなる塩基性タンパク質であると分かることを実証した。以上より、①種子由来の浄化成分のため、安全である、②水質汚染物の除去が可視化できると同時に、水道水ができる浄化過程が教室で再現できる、③汚染水は人工的に調製したものであり、河川水などの天然汚染水より衛生的で且つ安全である、④種子の浄化成分の探求が可能であり、タンパク質の性質を調べる材料になる、⑤基礎レベルは、小・中学校での環境学習教材として取り入れることができる、⑥応用レベルは、高校化学・生物を組合せた内容であり、探求学習の素材になる、⑦学習到達度レベルと機器や器具に応じて、実験項目を選択し、水環境の保全を学ぶ教材であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、小学、中学および高校教員から指摘された内容に基づき実験メニューの改善をはかった。例えば、中学生に対する授業実践では、硬水(ミネラルウォーター)や界面活性剤を実験材料に加えることにより、浄化メカニズムの考察をより深化させることができた。現在まで、当初の計画通りに、種子粉末を用いた基礎レベルと種子抽出液を用いた応用レベルの実験メニューをそれぞれ完成することができたが、一方で、教育現場のIT化に対応すべく、当初の計画にはなかった本教材のIT対応にも着手したが、今年度内に実施案を作成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
近年では、授業のIT化が急速に進められており、オンライン授業の益々の充実が教育現場に求められている。このような状況を踏まえて、事業期間を1年間延長し、「新しい実習教材」の実施案を構築するものである。令和2年度は、教員と生徒間および生徒と生徒間のタブレットによるコミュニケーション手法を中心に、本教材のIT対応に向けた授業資料の作成や実施プランの開発を試みる。
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Causes of Carryover |
令和元年度に完成させた環境教育用教材を、教育現場の実情と社会情勢を踏まえ、今年度の後半から本教材のIT対応化の研究を進めたが、開始時期が遅かったことと、コロナウイルス感染拡大防止に伴う行動自粛もあり、当初の事業期間内に達成できなかった。令和二年度は、タブレットを導入したIT対応型の環境教育用教材の実施案を作成する。
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Research Products
(4 results)