2018 Fiscal Year Research-status Report
身体性認知科学に基づくものづくり技能の形式知化と技能評価の革新
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17K01068
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Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
不破 輝彦 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (70219137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 正毅 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (70648948) [Withdrawn]
岡部 眞幸 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (20152332)
二宮 敬一 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (20726335)
貴志 浩久 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 助教 (00747735)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 技能評価 / はんだ付け作業 / 前頭前野 / 脳血流量変化 / 自律神経 / 作業難易度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,生体情報を計測することにより,ものづくり技能レベルの評価方法を検討することである.平成30年度の研究では,はんだ付け作業を対象として実験を行い,被験者の技能レベルと作業の有無,作業難易度との関係を導出した.この結果と平成29年度のフライス加工実験結果との比較を行い,人間自身を評価することによる技能評価の可能性を探った. 方法を以下に述べる.被験者は,熟練者4名,中級者7名とした.はんだ付け作業では,熱容量の観点から作業難易度を5段階に設定した.測定する生体情報は,心電図(信号処理により自律神経バランスの指標としてLF/HFを算出)と,前頭前野10箇所の酸素化ヘモグロビン量(思考や判断などの脳賦活化の指標)とした. LF/HF,酸素化ヘモグロビン量の測定による技能評価の結果は次のとおりである.難易度の設定や作業の性質の違いによって技能レベルと難易度との関係が異なる可能性があることがわかった.具体的には以下のとおりである.はんだ付け作業では,低難度作業時の生体情報(LF/HF,酸素化ヘモグロビン量ともに)に対する高難度作業時の生体情報の比(高難度/低難度)は中級者の方が熟練者よりも大きい傾向があった.一方,平成29年度の研究(フライス加工作業を対象)では,低難度作業時の生体情報(LF/HF,HEG値(脳血流量変化の指標)ともに)に対する高難度作業時の生体情報の比(高難度/低難度)は熟練者の方が中級者よりも大きい傾向があった.このことから,対象とする作業や難易度設定により傾向が異なる可能性はあるが,生体情報により被験者の技能レベルを定量的に評価できる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,平成29年度にフライス加工技能に対する実験を行い,平成30年度以降は,電子機器組立て技能に対する実験を行い,技能評価のための新指標を導出することであった.平成30年度の進捗状況として,電子機器組立て技能としてはんだ付け作業の実験を行った.そのうえで,平成29年度に実施したフライス加工実験の結果との比較を行うことができた.したがって,「おおむね順調」と判断した.ただし,被験者数が少ないという課題があり,統計的に十分な検証を行うことができていないため,当初の計画以上の進展には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究により,対象とする作業や難易度設定により傾向が異なる可能性はあるが,生体情報により被験者の技能レベルを定量的に評価できる可能性を示した.しかし,被験者数が少ないため,統計的検証を十分に行うことができていない.今後の方策としては,被験者数を増やして統計的検証を実施したうえで,技能を定量的に評価できるかどうかの検討を行う.
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Causes of Carryover |
平成30年度は,既存の備品,機器を用いた実験,およびデータ解析を行ったため,人件費・謝金の支出のみとなり,近郊の学会発表のために旅費も不要(勤務先の旅費経費を活用)であった.加えて,外部の熟練被験者数が当初予定よりも少なくなってしまったことが理由である.次年度の使用計画として,外部の熟練被験者招聘のために使用するとともに,研究成果発表のための経費(旅費等),データ解析用機器・ソフトウェア整備のために使用する.
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