2018 Fiscal Year Research-status Report
System for long-term measurement of rotational eye movement and gaze in the dark environment
Project/Area Number |
17K01071
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
星野 聖 筑波大学, システム情報系, 教授 (80251528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 眼球運動計測 / 視線追跡 / 眼球回旋運動 / 白目の血管像 / テンプレートマッチング / 青色補助光照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度末までに達成した研究実績の主要なものは,トラッキングに最適な眼球白目血管像を選択する手法である. すなわち,眼球白目領域からテンプレート血管像を選び,テンプレートマッチングにより眼球運動を推定する研究代表者の従来手法では,選択の容易さから,虹彩付近の血管もしくは血管端をテンプレート画像として使用することが多かった.マッチングのためには,色が濃かったり,太い血管や特徴的な形状の血管がある方が好都合であるが,眼球の血管像には個人差があり,また,虹彩付近の血管が必ずしも色が濃かったり太かったりはしなかった.さらには,たとえば屋内で実験を行う場合,天井の蛍光灯などの外部光源が眼球表面に写り込むことがあるため,常時,複数の血管テンプレート画像によりトラッキングしておき,撮像状況に応じてマッチング結果を選択できると好都合である. それゆえ,解決すべき課題,あるいは解決が難しい課題は,ユーザに応じて,もしくは外部光源の眼球への映り込みがあっても,高精度かつ頑健に眼球運動推定ができる白目領域テンプレート血管像の選択アルゴリズムの開発であった. この問題を,第一に,白目領域と血管像の濃淡コントラストを大きくするためのヒストグラム平坦化処理の導入.第二に,血管像テンプレートマッチングに適した領域,すなわち,多少の照明変化にも頑健な領域を得るため,局所特徴量の1つであるOriented FAST and Rotated BRIEFによる特徴点検出の導入.第三に,血管像中の輝度勾配によって生じた特徴点のみを残す処理の導入.第四に,特徴点の密度を利用して,テンプレートマッチングに使用する血管画像の選択の導入.第五に,周囲の比較的強い光源からの映り込みが眼球表面に発生した場合,その光によって生じた輝度勾配に特徴点が集まってしまうため,それを取り除く処理の導入,により解決した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の「研究実績の概要」に記載した画像処理手法の考案と導入により,評価実験として,3種類の背景照明環境における計測値と,本提案手法による推定値の結果とを比較すると,背景の明暗に関係なく,本提案手法で高い推定精度が得られたためである.そして,眼球白目血管像に個人差があっても,また周囲の光環境の明暗に関係なく,さらには眼球表面への外部光源の映り込みがあったとしても,頑健な眼球運動推定を実現するための構成を実現できていた.なお,通常仕様のPCを使用した場合の処理速度は28 fpsであった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後に解決すべき課題は,第一に,装着者に眩しさを感じないようにしつつ,とくに暗闇や暗い映像コンテンツ観視下での計測では,できれば補助光照射そのものを意識させないようにしつつ,第二に,それとは相反して,眼球の白目部分に存在する血管像の濃淡コントラストを強調して,注目した血管像を,いかに高精度かつ頑健に追跡できるようにするか,である.もちろん生体への安全性は担保されている前提である.今後の実装を考えれば,原理において,高価な特殊専用機器は用いず,廉価な民生機器でも実装可能な構成にすることが望ましい.ところが,市販されている比較的小型の民生用カメラでは,規格表に可視光外の短波長感度が記されていない場合が多く,また,予備的検討の結果でも,短波長帯域がカットされている製品が大半である.そこで本研究課題では,まずは,多くの民生用カメラで予備的検討を行い,現実的に利用可能な製品の選定実験を行う.続いて,それらを用いて,補助光照射を感じさせず,しかし,背景光環境と関係なく,高精度な眼球運動計測を行えるシステムを実装する.
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Research Products
(8 results)