2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K01092
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
村井 保之 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (30373054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 触指位置追跡 / 触図 / 光学式モーションキャプチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障碍者に図や形状を理解させることは難しい。それは、視覚障碍者が図や形状をどのように触指(手で触って調べる)し認知しているのかの理解が不足しているからである。本研究は、視覚障碍者の図や形状の認知過程を解明するため、触指の動作を光学式モーションキャプチャシステムにより指先の軌跡(座標)として記録する。その際用いる触図は、四角や円などの基本図形を組み合わせたもので触指動作を単純化し、触指の一般的な特徴を検出したいと考えている。 触指の際、指先の位置や動きが図形理解に大きく関わっていると考えられる。そこで、触指の際の指先の座標データから、触図の同じ場所を触った回数、指先の移動方向、指先の移動速度を定量化する。指が同じ個所を触った回数から、多い場合は、図の特徴的な部分や触指が難しい部分であることが推察できる。指先の移動の速度から、早い場合は特徴を見出すというより、次の地点への移動、または、直線のような単純な場所、もしくは既知の形状であると推察できる。また、遅い場合、図が複雑であるか特徴のある部分で、念入りに触指していると推察できる。指先の移動方向については現在分析中である。 初期の実験で用いた触図は、花や車など形状が複雑であり、触指の動作も複雑になり、触指の基本的な動作や一般的な特徴を見出すことが出来なかった。そこで、丸や四角の基本図形を組み合わせた単純な触図を用い、触指の動作を単純化し、触指の基本的な動作、共通動作を見出すため実験を行なった。実験には、本年度の経費で購入した、光学式モーションキャプチャシステムPhaseSpace社のImpulse X2Eを使用した。記録したデータは付属のSDKを使いPythonで分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は“触知に適合した特徴量の性質と図形イメージの可視化”の予定であった。計画のうち図形イメージの可視可については、モーションキャプチャにより取得した触指の際の指先の座標データを基に指先の軌跡を可視化することが可能となった。これにより10本の指の動きを描画された軌跡からも分析できる。しかし、触指動作の特徴量の性質については、実験データが少なく一般的な特徴を見出すまでには至っていない。実験データが集まらなかった原因は、今年度使用を予定していた光学式モーションキャプチャシステムの導入が8月末と遅くなり、モーションキャプチャシステムの使用方法習得に手間取ったうえ、実験の矢先にシステムが故障し修理に時間がかかったためである。 研究計画書で予定していた「指の移動方向」の特徴量を考察するための指型触覚センサについては、モーションキャプチャで取得した指先のデータより移動方向を判別できるために使用する必要がなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
光学式モーションキャプチャシステムを導入し使用方法にも習熟し、触指動作の可視可プログラムも開発できたので、次年度は触指動作の特徴量を見出すために多くのデータを収集する予定である。触指データの収集に際しては,触指の個人差を出来るだけ少なくするように、四角や円などの基本図形をいくつか組み合わせた物を使用する。これにより触指動作の特徴をとらえやすくし,個人差を少なくし,そこから、触指動作の一般的な特徴を検出したいと考えている.そのためには,多くの視覚障碍者の協力が必要であるが、どのように人数を揃えるのが問題である.また,研究倫理面の処置も確実に行う必要がある.
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Causes of Carryover |
本年度導入した光学式モーションキャプチャシステムが、研究計画書で予定したものと違った製品(より高性能で扱いやすいもの)となり、予算との差額が生じた。 次年度使用額は、分析のためのPC購入や学会発表の旅費等に充当する予定である。
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