2017 Fiscal Year Research-status Report
不安定ネットワーク環境下で安定稼動可能な協調型eラーニングシステムの開発
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17K01106
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 和彦 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (90344548)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不安定ネットワーク / コンテンツ共有 / 教育支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,不安定なネットワーク環境上で安定的に動作する教育支援システムを実現するための具体的方策として,無線メッシュネットワークの各ノードに設置し,生存ノード間で情報共有する機能を有したユニットを開発している。本ユニットは,クラスタデータベース技術による教育コンテンツ共有機能と,学校間で設置された無線ノード個々のバッテリー充足率や消費電力量から稼動可能時間を可視化する機能を有する。本研究課題の実施期間において定めた目標のうち,「小型省電力のシングルボードコンピュータに,コンテンツ共有のためのデータベースシステムと,電力可視化システムをいずれも実装する(目標1)」を完了した。2017年12月末~2018年1月初頭にかけてネパール国ポカラで現地実験を行った。コンテンツ共有機能については,同一ネットワーク上では動作が確認されたが,ネットワークを越えた遠隔地間での共有に関しては,端末設定が上手くいかず,実験完了に至らなかった。また,電力可視化システムについても,国内での電力可視化の実験は成功したものの,現地の電気設備の規格の問題から,ユニットを設置しての実験は達成できなかった。現地の設備について調査を行い,本システムの改善すべき点の洗い出しを行った。また,この実験と平行して,教育コンテンツ共有機能を利用する具体的な教育支援アプリケーションとして開発した小学生を対象とした写真交換による異文化交流アプリを,ポカラ市街の小学校1校と近隣の山間部にあるアスタム村の小学校1校で児童らに実際に試用してもらう実験を行った。児童らがタブレットやアプリケーションを円滑に利用できるか,アプリケーションの機能上の問題が無いかについて調査すると共に,小学校の教員に,現地の教育体制や提案アプリケーションに関する意見などについて聞き取りを行った。提案アプリケーションについては非常に好意的な反応が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29 年度の研究計画として,(1) クラスタデータベース技術による教育コンテンツ共有機能の開発,(2)無線ノード個々のバッテリー充足率や消費電力量から稼動可能時間を可視化する機能の開発,(3)(1)と(2)を1つのシングルボードコンピュータ上に実装したユニットの開発,(4)ネパール現地でのユニットの稼動実験,(5)運用に向けての現地調査,の5つの作業を予定していた。本年度はこの全てを実施したため計画としては予定通りと言える。ただし,その成果としては,(4)の現地稼動実験は,ユニットの環境への適応が上手くいかず,無線中継ノードや小学校に設置したユニット間で無線ネットワークを介してのコンテンツ共有や,ノードのバッテリーの状況を把握して稼動可能時間を可視化する機能について,現地での動作確認まで至らなかった。稼動実験としては失敗であるが,次年度に予定しているユニットの改良のために必要な問題点の洗い出しは行っており,次年度の計画に遅れが生じることはないため,概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
遠隔ノード間でコンテンツ共有が行えるように,現地環境を模した仮想的なネットワークを構築し,その上でユニットの調整を進める予定である。また,電力可視化についても,現地の電気設備を想定した改良を進める。開発したユニットは無線中継ノードに備え付けられることを想定するため,屋外に長期にわたって設置できるようなカバーなど,概観についても検討する。また,ノード改良と平行して,改良後の再度の現地実験を見据えて,現地協力者の確保も進める予定である。具体的には,現地システム利用者および管理者の教育体制の確立と,現地技術者との保守連携体制の確立の2つを進める。さらに,最終年度に予定する本システムを用いた遠隔協調学習環境による日本~ネパール間の学校間の協調学習の実現に向けて,教育工学などの研究会を中心に積極的に参加し,教育支援システム開発に理解のある小学校などの協力者についても探す予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定以上にネパール現地実験のための経費がかかり,購入予定として計上していた実験消耗品の購入について,本助成金による購入を行わなかったため差が生じた。次年度において,次年度請求ぶんと合わせ,開発中のユニットの改良などに必要な消耗品の購入及び,昨年度の現地実験についての成果発表旅費などに充てる予定である。
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Research Products
(1 results)