2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a learning package for general student to master ability to communicate messages by video
Project/Area Number |
17K01108
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西岡 貞一 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (60436285)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 泰明 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30767421)
鈴木 佳苗 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (60334570)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 映像制作 / テンプレート / メディア教育 / 学習パッケージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、映像制作に対して専門知識を持たない一般学生が、メッセージを伝えるための映像制作スキルを習得するための学習パッケージ(学習プログラム、教材、評価手法)を開発することを目的としている。平成29年度は学習パッケージの内、20時間で企画・撮影・編集といった映像制作の全行程を学ぶ学習プログラムの開発を行っなった。 平成30年度は、前年度の実験で得られた知見を基に、映像表現のための教材(テンプレート)の試作を行なった。テンプレートとは映像表現を行う際に用いる雛形で、題材に合わせて手直しすることで、素人でも映像表現を行うことを容易にするための教材である。本研究の最終目標は一般学生向けの学習パッケージ開発であるが、第一段階として講演やギャラリートーク等、映像化する題材を有する博物館学芸員向けの学習パッケージの開発を行なった。学習パッケージの可能性を評価し、開発手法を構築した後、一般学生向けに学習パッケージの一般化を目指す戦略である。 平成30年度は、テンプレート開発の容易化と有効性評価の精度向上のため、対象を歴史系博物館の展示解説映像に絞り込みテンプレートを試作した。 北区立飛鳥山博物館ならびに松本市立博物館と共同で評価実験を実施した。前年度の課題であった学習効果の評価手法に関しては、企画、撮影、編集の各工程を対象としたルーブリックを試作し評価をおこなった。上記テンプレート並びにルーブリックを用いて、茨城県立高校生12名、筑波大学生を対象にい実験を行い学習プログラムの有効性を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歴史系博物館を題材に、学芸員向けテンプレートの開発と有効性評価を行なった。歴史系博物館の代表的資料である「復元ジオラマ・古地図」「古写真・絵葉書」「古文書」「民俗行事」について、既存の展示映像や歴史系放送番組をリサーチし、それぞれの特徴を分析しテンプレートを試作した。実際に学芸員がテンプレートを利用して展示映像を制作し、その体験を基にテンプレートの使いやすさ等を五件法と自由記述アンンケートにより評価した。さらに、その展示映像を来館者に提示し、鑑賞支援効果の評価を行なった。 学芸員による自己評価結果からは、テンプレートの有効性が示唆された。一般来館者による鑑賞支援効果に対する評価も肯定的な結果が示された。学習到達度評価を目的として、企画、撮影、編集の3つの評価観点によりルーブリックを作成した。3名の映像制作経験者を対象に、ルーブリックの妥当性評価を行なった。3名による評価の一致率は0.75であり、ルーブリックの妥当性が示唆された。高校生10名、大学生40名を対象に、前年度作成した学習プログラム、今年度前半に作成したテンプレート(教材)とルーブリックを用いて、学習パッケージの有効性評価と課題抽出を行なった。その結果、学習パッケージは映像制作の学習に有効であることが示唆された。 一方、学習パッケージは撮影や編集の学習には効果的であるが、企画に対しては、網羅生や具体性が不足していることが明らかになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまで学芸員向けに開発した学習パッッケージを基に、一般学生向けに、学習パッケージの一般化を目指す。一般学生は学芸員と比較して、映像の題材に対する知識や情報に乏しい。今年度は映像制作の行程の中でも企画法、特に取材・調査手法の学習パッケージの開発を重点的に行いたい。 平成30年度の実験では、テンプレートと併せて、例示のためのサンプル映像を提供した。サンプル映像は、テンプレート作成のために収集・分析した約100本の放送番組・展示映像の中から選定した。平成31年度は学習プログラムの公開・一般化に向けて、例示用映像の自作をを行う。 学習パッケージの有効性評価に向けては、これまで2年間実験を行なってきた筑波大学での実験を重ね、形成的評価を行う一方、他大学での実験を実施する。博物館展示映像については、歴史系博物館に加え芸術系博物館(美術館)に対象を広げ、学習パッケージの一般化手のモデル構築を行いたい。 一連の研究成果については、日本教育工学会、日本教育メディア学会、日本展示学会等での発表を計画している。
|
Causes of Carryover |
実験用消耗品を想定より低価格で購入することができた。また、実験協力者の一部が無償で実験に参加してくれた。 そのため当初予算に未使用額が生じた。 平成2018年度の未使用額については、2019年度に例示映像の試作、他大学での評価実験のための財源として執行する計画である。
|