2017 Fiscal Year Research-status Report
情報教育でのプログラミング的思考力の養成を目指した学習システムと学習内容の構築
Project/Area Number |
17K01120
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西 正明 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (50218103)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プログラミング的思考力 / コンピュテーショナルシンキング / 学習システム |
Outline of Annual Research Achievements |
プログラミング的思考力の養成を目指した,小・中・高等学校を通じての学習システムと学習内容を構築することを目的としている。平成29年度実績は以下の項目にまとめられる。 (1)プログラム内手順の記述方法として,従来のフローチャートに代わる PAD(Problem Analysis Diagram)を学会で紹介するとともに,ブロック型プログラミング環境との親和性を明らかにした。 (2)マイコンカーにブラシ型モータを使用すると安価ではあるが安定走行が十分でない。そのためモータ自体が発生するノイズを利用して回転数を制御する方法を確立した。さらに3端子レギュレータを用いた供給電圧の安定化,ボール型キャスタを用いた回転直後の走行安定化等で,安価で高精度なマイコンカーを開発した。マイコンカーの走行をコンピュータシミュレーションによって見通しを持った試行錯誤を可能にしているが,走行の表示が途中で止まってしまう不具合を描画の時間間隔を長めにすることで解決した。授業実践を行い,コンピュータシミュレーションと実機とで走行の対応性を改善でき,学習の質を高められることを確認した。 (3)タブレット端末を用いたMIT App Inventer2によるプログラミング学習のためのカリキュラムと手引書を作成し,中学校で授業実践を行った結果,興味を持って学習に取り組むことが確認できた。一方,大学生と高校生のキーボード入力と中学生のフリック入力を測定するとともに,両端画面配置型タブレット型キーボードを考案して評価を行った。両端画面配置型入力はフリック入力と入力速度にあまり差が見られなかった。入力操作前の入力文字記憶量が影響の大きいことが推測された。 (4)コンピュテーショナルシンキングについて各国の状況を調べて,定義付けを行った。これに基づいたコンピュータ活用の学習内容の構築として,Excelを用いた学習例題を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に対して,国内外での情報教育の取り組み状況の実態調査等一部実施していない項目があるが,それ以外の開発項目と授業実践による評価はおおむね順調に進んでいる。全てではないが重要な点では概ね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,特に平成30年度は,国内外での情報教育の取り組み状況の実態調査の継続,タブレットやマイコンを用いたIoT(Internet of Things)を意識したプログラミング的思考力の養成プログラムの構築を行う。以下の項目にまとめられる。 (1)プログラミング的思考力養成の観点から,国内外の小中学校及び高等学校での情報教育の取り組み状況の実態調査を継続して行う。 (2)Androidタブレットは BLE(Bluetooth Low Energy)を用いると,Arduino マイコンや BlueLight Bean などの小型のデバイスボードと長期間接続し続けることができ,タブレット自体のセンサだけでなく外部のセンサも幅広く使用できるようになり,ワイヤレスの遠隔計測・制御が可能になる。WiFi を用いてさらに遠距離で利用する場合についても検討して,IoTの学習ができるようにする。本研究では,これらを用いたプログラミング的思考力の養成プログラムを構築して,授業実践を通して評価を行う。 (3)Androidタブレットにアプリを作り込むブロック型プログラミング環境として,Application Inventor 2 があり,アプリの転送が簡単にできるので使いやすい反面,プログラムコードが容易には見られない。このプログラムコードを見られるようにし,編集して動作に反映できるようにして,深みのある学習を可能にすることを目指す。 (4)Android タブレットを主体としたプログラミング教育をスマートに行えるように,文字を効率よく速く入力できる新しいフリック入力方法を考案して実装する。並行して,従来のキーボードを用いた文字入力についても,正しい指使いを検知する学習訓練装置を確立して,文字入力の高速化に貢献する。
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Causes of Carryover |
当初から参加を予定していたアメリカの技術教育学会ITEEA(International Technology and Engineering Educators Association)の国際会議が,例年だと3月に開催されてきたが,今回に限り4月の開催になったためである。4月にアトランタで開催されるITEEA学会の参加費と旅費として使用する予定である。
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