2018 Fiscal Year Research-status Report
情報教育でのプログラミング的思考力の養成を目指した学習システムと学習内容の構築
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17K01120
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西 正明 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (50218103)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プログラミング的思考力 / コンピュテーショナルシンキング / 学習システム |
Outline of Annual Research Achievements |
プログラミング的思考力の養成を目指した,小・中・高等学校を通じての学習システムと学習内容を構築することを目的としている。平成30年度の実績は以下にまとめられる。 (1)北欧を中心にフィンランドFIN,スウェーデンSWE,イギリスENGの順に情報教育の状況を視察した。3国とも初等教育低学年の段階から論理的思考を育める教具を多用し,ネットワーク環境を整えてwebコンテンツが豊富で充実していた。義務教育の全期間を通した情報教育カリキュラムになっていて, FINとSWEは情報教育を既存教科の中で,ENGはComputingという新教科で行っている。ENGはComputingに対する情報学習環境・教員配備が追い付いていない点が否めないが,義務教育の中で高レベルの学習を行っていた。我が国の情報教育の在り方を考えるのに参考になる。また,ENG製で低学年からプログラミング素養を学べるように工夫された玩具にキュベットがある。これにはプログラムの3要素のうち条件分岐が含まれていないが,追加拡張できる見通しを得ている。 (2)キーボードでのキー入力の向上のために,手指を認識するキータッチ練習システムを開発した。正しい指使いの学習に大きな効果が認められた。練習時間が短期間のためにキー入力速度の向上は被験者によってまちまちであったが,恒常的にこのシステムで練習すれば,キー入力速度の向上が期待できる。 (3)ブラシ型モータを使用した安価なマイコンカーであっても,予め走行速度を自動調整設定することによって,ある程度の安定走行が可能なことを確認しているが,まだ十分でない。その原因が,モータの個体差が大きいこととトルク不足であることをつきとめ,改善の見通しを得ている。 (4)Raspberry Pi Zero Wとwebiopiを用いた消費電力のIoT計測と送配電時の損失を実験考察するための教材を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での情報教育の取り組み状況の実態調査等一部実施していない部分があるが,それ以外の開発項目と授業実践による評価はおおむね順調に進んでいる。マイコンカーによるプログラミング教材は,精密に動作するための構造の見直しを行い,改善の見通しを持って進めているところである。キーボードのキー入力練習システムやマイコンを用いたIoTを意識した電力の省エネルギーを実験考察できるシステムを開発できたことなど,重要な点では概ね達成できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,マイコンカーの精緻度向上とマイコンを用いたIoTを意識したプログラミング的思考力の養成プログラムをより高度に実現させる。またタブレットの入力速度向上のための方法を検討する。 (1)マイコンカーについて,これまでの時間による走行制御方法の限界を見出すとともに,回転数計測による制御方法に切り替えた場合の走行の正確性を評価する。さらにディファレンシャルギアとアッカーマン式ラック&ピニオンステアリングを用いた実物の車に近い後輪駆動型模型を開発し,走行動作の正確性と教育的効果を評価する。 (2)Wi-Fiを用いたワイヤレスの遠隔計測・制御を行うIoT(Internet of Things)の学習を,電力の送配電での損失電力,各家庭での消費電力の実験検討の場面で,コンピュータテーショナルシンキングを含んだ授業実践を行い,開発システムの教育的効果を評価検討する。 (3)キュベットに条件分岐機能を追加した拡張版を開発して,オリジナル版との教育的効果の差異を評価検討する。 (4)Android タブレットを主体としたプログラミング教育をスマートに行えるように,文字を効率よく速く入力できる新しいフリック入力方法を考案して実装する。
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Causes of Carryover |
端数として残ってしまったものであり,これは次年度の予算の中に含めて使用する。
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