2019 Fiscal Year Research-status Report
手書き数式・図形認識を用いたインテリジェント数学授業支援システムの研究
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17K01133
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
藤本 光史 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20270241)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ユーザインタフェース / 手書き図形入力 / GeoGebra / 一筆書き / Risa/Asir |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では数式だけでなく図形も手書きで入力できる新しい数学用インタフェースを開発すると共に、入力された初等幾何命題の真偽判定や証明を与える数学授業支援システムの実現を目指している。令和元年度は主に手書き図形ユーザインタフェースとモバイルデバイス用数式処理エンジンの研究を推進した。 始めに昨年度に続いて動的幾何ソフトウェアGeoGebraやMicrosoft Whiteboardなどの手書き図形入力をサポートしたアプリのインタフェースについて調査を行い、本研究の図形入力プラットフォームとしてGeoGebraを選定した。選定理由はGeoGebraが独自スクリプトだけでなく、より汎用性の高いJavaScriptを用いて機能を拡張することが可能であるためである。そして、これを利用して手書き図形入力インタフェースのプロトタイプを作成した。また、その結果を応用して手書き入力対応一筆書きパズルアプリを作成した。このアプリは描いた図形が一筆書き可能かどうかを判定すると共に経路の自動生成も可能であり、用いたアルゴリムを解説するための教材としても利用可能である。この研究成果は統計数理研究所の研究集会で発表した。 次に数学授業支援システムのクライアントとして利用するプラットフォームについて調査を行い、選定したAndroidとiOSに対して数式処理システムRisa/Asirの移植を行った。ここで採用した手法はSandboxを利用したものであり、これまでの手法と比較して安定性の高いものである。使用したSandbox環境はAndroidではTermux、iOSではiSHであり、作成したRisa/AsirバイナリはWebで公開した。この研究成果は日本数式処理学会2019年度合同研究会及び京都大学数理解析研究所研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インテリジェント数学授業支援システムの実現に必要な数学ユーザインタフェースの研究を推進し、上記「研究実績の概要」で記述した結果を得た。そして、研究論文を1篇出版し、学会・研究集会で3件の研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、昨年度までに得られた成果を基にして、手書き図形から命題の作成に必要な情報を自動抽出し、その情報をインタラクティブに編集することによって初等幾何の命題を作成するインタフェースの実装を行う。そして、定理証明支援系のCoqと連携して入力した命題の真偽判定を実現するための実装を行う。さらに、開発したシステムの電子黒板での利用について検討し、数学授業支援システムのプロトタイプを構築する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス拡散防止のため、参加を予定していた学会と研究集会が中止となったことが次年度使用額が生じた主な理由である。 前年度残額39万円と今年度請求額90万円の計129万円は、数学授業支援システム構築のためのPCサーバ(50万円)、比較検証のために必要なタブレット端末2台(20万円)、プリンタトナーやDVD-Rなどの消耗品10万円、ユーザインタフェース関連図書4万円、数学関連図書(数学教育・幾何教育・定理証明支援系)5万円、研究打合せ及び成果発表のための旅費40万円として使用する予定である。
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